助産師の「オンライン両親学級」人気 「Zoom」で交流 出産、子育て相談

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 出産を控える夫婦に育児の心構えなどを指導する、病院や自治体の「両親学級」が、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止・延期されるなか、岐阜県内の助産師有志8人が5月半ばからボランティアで「オンライン両親学級」(県助産師会主催)を開き、人気を博している。

 オンライン学級は、県内の妊娠20週以上の妊婦や夫らのグループ(定員10組20人)と助産師3、4人をテレビ会議システム「Zoom」でつないで実施する。約1時間で、産後の過ごし方や育児、お産のための体と心づくりなどを指導する。15日の初回以降、金・土・日曜に開いており、5月中に計12回開く。

 通常の学級は平日午後に開かれることが多く、働いている妊婦や夫は参加が難しい。オンラインは、岐阜へ里帰り中の妊婦と東京で仕事を終えた夫が一緒に参加した例もあった。夫婦で参加し、産後の迎えや風呂の分担など、具体的なイメージをつかむ一助となっているという。

 また通常の学級では、助産師1人が約20~30人を指導する。オンラインなら複数の助産師が同時に参加でき、グループ分けして少人数で話す時間も設けられる。初産の妊婦は何を質問すれば分からないこともあるが、経産婦や他の妊婦の質問からも学べる。自宅から自由な服装で気軽に参加でき、「そういえば聞きたいと思っていた」ことを思い出しやすいのも利点という。

 今も外来に助産師がいる病院では個別指導をしているが、こうして同じ時期に出産を迎える妊婦同士が交流する場が無くなっていた。関東でのオンライン学級に参加した助産師が「岐阜でもやりたい」と発案した。

 8人は病院勤務や開業などしていて、仕事の時間外にオンライン学級を運営している。活動拠点は岐阜、西濃、東濃、飛驒地域とバラバラだが、春の大型連休前からオンラインで打ち合わせて実現させた。

 運営に加わる大垣市の助産師、吉良光代さん(51)によると、動画で情報発信する自治体や病院もあるが、助産師会主催で双方向形式の両親学級を開いているケースは珍しいという。吉良さんは「コロナ禍の出産は家族で一致団結して乗り越えなければならないが、力みすぎず、子育てを楽しんでもらうための場になれば」と話した。

 県助産師会ホームページの「お知らせ」欄から予約できる。各回の2週間前をめどに締め切る。6~8月も開催を予定し、それ以降の運営継続や、産後プログラム開設も検討している。【熊谷佐和子】