関西の求人倍率、4月0.09ポイント下げ 全国より大きく

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大阪労働局の雇用調整助成金の窓口には多くの相談者が訪れている(1日、大阪市中央区)

厚生労働省が29日発表した関西2府4県の4月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.09ポイント低下の1.33倍だった。落ち込み幅は1973年に起きた第1次オイルショックの影響を受けた75年1月以来の水準となる。前月を下回るのは4カ月連続。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、サービス業が盛んな関西では低下幅が全国を上回る。解雇も増加傾向で、雇用情勢はさらに悪化が避けられない情勢だ。

有効求人倍率は仕事を探す人1人に対し、企業から何件の求人があるかを示す。4月の1.33倍は2016年11月以来の水準だ。全国の低下幅0.07ポイントを上回る。

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関西では90年代初頭のバブル崩壊から1倍割れが続き、2006年度に1倍を回復。08年9月のリーマン・ショックを受けて再び1倍を割り込んだが、好調なインバウンド(訪日外国人)需要も背景に伸びていた。

雇用の先行指標となる新規求人(原数値)は前年同月比32.4%減の11万2000人だった。3月より22ポイント悪化した。下落率は09年5月以来の水準だ。生活関連サービス・娯楽業が44%減、製造業が41.5%減、宿泊・飲食サービス業が39.2%減などとなった。

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2府4県で求人倍率の下げ幅が前月比0.12ポイントと最大だったのが大阪。新規求人も前年同月比35.7%減と最大。同27.4%減だった運輸・郵便業では団体貸し切りやインバウンド利用が消失。府内の観光バス会社は40名いる社員の雇用は守るというが「ギリギリの状態が続いている。顧客が戻ってこなければ厳しい」。小売りも外出自粛で苦戦し、大阪労働局の井上真局長は「中堅スーパーや百貨店の総菜販売の求人が減った」と話す。

京都では宿泊・飲食業の新規求人が前年同月比59.8%減。京都市の旅館は「例年この時期、修学旅行に備えてスタッフを募集するが今年は控えた」と話す。シンクタンクのアジア太平洋研究所(APIR)は「全国に比べインバウンドの恩恵を受けた業種の落ち込みが目立つ」と指摘する。

観光などへの依存が大きい地域を中心に、「5月はさらに有効求人倍率は下がるだろう」(奈良労働局の川村徹宏局長)との声が多い。

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総務省が29日発表した4月の近畿の完全失業率(原数値)は前年同月比0.4ポイント低下の3.1%。東京商工リサーチが29日まとめた新型コロナ関連の2府4県の倒産件数は31件で、大阪が16件と最多。「コロナの影響で遅れ気味の破産の事務手続きなどが進めば、倒産が増えるのではないか」(同社)。各労働局によるとコロナ関連の解雇や雇い止め(見込み含む)は大阪で1789人、兵庫で810人にのぼる。

企業内の「潜在失業者」も懸念材料だ。企業が支払う休業手当を国が助成する雇用調整助成金の2府4県の22日時点の申請数は7040件。景気悪化が長引けば企業の雇用維持は限界に近づく。

4月の全国の鉱工業生産指数は前月比9.1%の大幅低下。生産活動の停滞に加え、コロナで求職活動をしていない人は失業者に換算されておらず、今後失業率はさらに上昇する可能性がある。APIRは20年度に関西で新たに約15万8000人が失業し、完全失業率(季節調整値)は4.1%に上昇すると試算する。

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