ルノー、世界の従業員8%削減 固定費圧縮2400億円
【パリ=白石透冴】仏ルノーは29日、2023年までに全世界の従業員の8%に当たる約1万5千人を削減すると発表した。生産能力は年400万台から330万台に下げ、固定費を20億ユーロ(約2400億円)以上減らす。過剰な生産能力に、新型コロナウイルスの感染拡大が追い打ちをかけた。日産自動車も苦境に陥っており、日仏連合での迅速なリストラが求められる。
早期退職を促すなどしてフランスで4600人、同国外で1万人超を削減する。クロチルド・デルボス暫定最高経営責任者(CEO)は同日、「計画は当社の存続のため、長期的な発展のために不可欠だ」との声明を発表した。
フランスでは4工場の「最適化」を検討する。仏紙レゼコーによると、日産の小型車「マイクラ」(日本名マーチ)を作るパリ郊外のフラン工場は、23年にも完成車の生産をやめる可能性がある。他に完成車工場1カ所と部品工場2カ所の閉鎖を検討する。
モロッコとルーマニアでは計画していた生産能力の増強は棚上げする。ロシアでも生産能力の削減を検討する。
ルノーと日産、三菱自動車で構成する日仏連合は27日、開発分野ごとに役割分担し各社の重複を減らす計画を発表した。これに基づきルノーは技術開発部門を合理化し、コスト8億ユーロ分を減らす。
ルノーは05年に会長兼CEOとなったカルロス・ゴーン被告の拡張路線で生産設備が過剰となり、19年12月期には10年ぶりの最終赤字となった。さらにコロナ禍で1~4月の販売台数は前年同期比で37%落ちている。
筆頭株主の仏政府はルノーの借り入れ50億ユーロに保証を付け、支援する。ただ国内でのEV増産などを約束させており、経営の自由度は減る。
同社は29日、新車開発の戦略には踏み込めなかった。独フォルクスワーゲン(VW)傘下セアトから招いたルカ・デメオ氏が7月に新CEOに就任するのを待つためだ。追加の中期計画の発表は9月ごろとみられる。