【球界ここだけの話(1978)】大リーグ開幕目標まで約1カ月、スポーツ求める米国と残る課題
大リーグ機構と選手会が7月開幕に向けた協議を始めて2週間が経過、26日(日本時間27日)に大リーグ側が選手の年俸に応じてスライド方式で削減する新たな案を提出したが、選手会側は即反発。一夜明けた27日、今度は選手会側が100試合以上を実施することや、試合数に応じた報酬を払う対抗案を今週中までに大リーグ側に提示するとESPN(電子版)が伝えるなど交渉は難航している。
米国は今スポーツを求めている。先月行われたNFLのオンラインドラフト会議は、3日間合計の視聴者数が史上最多となる5500万人に達し、ESPNではNBAのレジェンド、マイケル・ジョーダン氏の最新ドキュメンタリー「ザ・ラスト・ダンス」が5週間に渡り放送され、平均視聴者数が560万人を超えた。また、24日(同25日)には米男子ツアー82勝のタイガー・ウッズ、NFLの元名QBペイトン・マニング氏、バッカニアーズのQBトム・ブレイディらスーパースターが、新型コロナウイルス対策支援のゴルフマッチに参加し580万人以上が視聴した。
メジャー各チームも開幕に向け前には進んでいる。ヤンキース、エンゼルス、アストロズなど徐々にキャンプ地、本拠地施設を開放。レイズでは25日(同26日)に本拠地で14人が練習に参加している。しかし課題も隠せない。米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、米国での新型コロナウイルス感染による死者が27日(同28日)10万人を超え、感染者も約170万人と感染者数、死者数とも世界で最も多い。深刻なニューヨークでは1日の死者数が23日(同24日)に109人と、前日の84人から25人増加した。27日は74人に減少したが再び増えない保証はない。今季案では、両リーグの同地区の球団とだけ対戦するなど移動を最低限に抑えているが、大都市での安全面の不安は消えないのではないだろうか。
スポーツチャンネルではワールドシリーズやスーパーボウルなど過去の大会が毎日のように再放送されているが、結果が分かっている試合を見ることに飽きてきたスポーツファンも多いだろう。課題は残っているが、早く今年の試合で盛り上がれる日が来ることを願う。(竹濱江利子通信員)