「退院にPCR検査陰性」を要件とせず 厚労省が基準見直しを発表

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 厚生労働省は29日、新型コロナウイルス感染症の入院患者について、発症から一定期間経過した場合は原則PCR検査なしで退院させるよう基準を見直すと発表した。また、症状のない人も含めて感染者と濃厚接触した人全員を対象にPCR検査を実施することを決めた。これまでは発熱や呼吸器症状がある人に絞っていたが、発症前でも人にうつす可能性があるため検査対象を拡大する。

 新たな退院基準では、発症から14日以降で、熱が下がるなど症状が軽くなってから72時間たった場合、PCR検査なしに退院や自宅・宿泊施設での療養の解除を認める。症例分析の結果、発症から7~10日程度たつとウイルスが検出されても感染させる可能性が低いことを踏まえた。

 ただし、症状改善が発症後10日以内の場合にはPCR検査を求める。改善から24時間経過後に2回のPCR検査(24時間以上間隔を空ける)で陰性と確認できれば退院できる。

 これまでの基準では、発症からの日数にかかわらず、症状改善から24時間経過した後、PCR検査2回を実施し、いずれも陰性と確認できれば退院できるとしていた。医療体制が逼迫(ひっぱく)している場合は、軽症者が宿泊施設や自宅で療養を始めてから14日たった時点でPCR検査なしで療養解除を認めてきた。【原田啓之】