小中学校全面再開延期、屋内施設はすべて休館…北九州市で26人感染確認

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 新型コロナウイルスの感染者が急増している北九州市は29日、新たに26人の感染が判明したと発表した。同市の1日の感染確認としては最多で、感染確認は7日連続の計69人となった。北橋健治市長は同日午前、市の対策会議で「第2波のまっただ中にいる」との認識を示した。市は週明けの6月1日に授業の全面再開を予定していた市立小中学校について、当面は現在の午前中のみの授業を継続することにし、市の施設の休館を31日からすべての屋内施設に拡大することを決めた。

 市によると、新たに感染が判明した26人は10~90代の男女で、1人は10代の男子中学生。20~90代の男女10人は特別養護老人ホームわかば(八幡西区)の職員8人と入所者2人だった。厚生労働省のクラスター対策班と市は、わかばを新たなクラスター(感染者集団)とみて30日から合同で調査する。

 また、20~80代の男女9人は前日にクラスター発生が確認された北九州総合病院(小倉北区)の医療スタッフらで、同病院の感染者は計14人となった。26人の中には、北九州市に近い郡部在住者も2人含まれ、同市に通勤する人たちへの感染がさらに広がっている。

 北九州市は4月30日から23日連続で感染者ゼロだったが、5月23日以降毎日感染が確認されている。21人の感染が確認された28日には、二つの医療機関のクラスターに加え、小中学生2人の感染も判明。29日には感染者が出た小中学校を消毒し、いずれも当面の間、臨時休校となった。

 市は感染防止のための追加対策が必要と判断し、28日から小倉城など43施設で始めた屋内施設の再休館を、福祉施設や体育館、美術館など119施設にも広げて計162施設とした。また、市主催のイベントを中止し、民間主催のイベントも中止や延期を要請する。施設の休館とイベント中止はいずれも6月18日までとしている。屋外運動施設や公園は、密集の防止などに注意しての利用を認める。

 市立小中学校は全面再開に伴って給食の再開も予定していたが、市は「家族以外との食事は感染リスクが高まる」と判断し、当面見送ることにした。北橋市長は対策会議後の記者会見で「児童生徒、保護者の不安を取り除く」と説明した。

 市長は会見で「何としてもこの第2波でウイルスとの戦いに勝たねばならない。ぜひ短期決戦で決着をつけたい」と強調。感染状況が落ち着けば、休館などの措置を前倒しで解除することも検討する。

 一方、北九州市の状況について、29日夜の政府専門家会議の記者会見で、東北大の押谷仁教授は「何らかの形で、地域で(新型コロナの感染の)伝播(でんぱ)が続いていたものが、突然顕在化してきたのだと思う。地域で隠れている見えないクラスター、感染連鎖をいかに早期に検知し防ぐかが今後の課題だ」と述べた。【井上卓也、横田愛】

福岡県はライブハウスなどへの休業要請解除

 福岡県は29日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い全県で継続していた、接待を伴う飲食店やライブハウス、カラオケボックス、スポーツジムなどへの休業要請について6月1日午前0時で解除することを決めた。ただ、感染が拡大している北九州市内の接待を伴う飲食店とライブハウスへの休業要請は6月18日まで継続する。また、北九州地区の県立学校は週明けから1週間、登校する生徒の人数を絞る分散登校にすることにした。【吉住遊】