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2013年8月27日の巨人-阪神で、新井貴浩が一回の好機に空振り三振【拡大】

【よみがえるノムラの金言】野村克也氏「力を入れるのは子供にもできる」

 あぁ、勘違い…。2月11日に急逝した野村克也さん(享年84)が、サンケイスポーツ専属評論家として本紙に残した言葉を振り返る、ヘリテージ(遺産)連載。今回は「力を入れるのは子供にもできること」。これは、正しいフルスイングの“講座”でもあった。(構成・内井義隆)

 豪快なスイングから生み出される、どデカいホームラン。野球の花形シーンの一つだ。それを追い求めすぎると…。

 「フルスイングの勘違いになる」

 ノムさんがピシャリとクギをさしたのは2013年8月27日、巨人-阪神(東京ドーム)の『ノムラの考え』。阪神の新井兄弟の打撃評論だった。

 阪神にとっては、5ゲーム差で首位・巨人を追う3連戦の初戦。時期的にみても、優勝戦線に残れるかどうかという大事な一戦。

 巨人の先発は11年(18勝)、12年(15勝)と2年連続最多勝の左腕、内海哲也投手。

 その立ち上がり、一回2死一、二塁。なにがなんでも先取点がほしい試合。しかも、先頭打者が四球で出ながら、2番に強攻させ、進塁打にもならずに遊ゴロ併殺。その後にまた四球2つで、転がり込んだチャンス。ここで右打席に新井貴浩内野手。さあ、初球。

 「もう、打てんわ」

 ノムさんはこの時点で、早くもタメ息をついた。真ん中に入ってきたスライダーを、大きなスイングでファウルにしたからだ。

 常識的に言って、一流投手の失投は、1打席に1球あるかないか。甘くきたファーストストライクの打ち損じは、取り戻せるものではない-。これが根拠だった。

 実際、2球目から内外角のきわどいところへ散らされ、最後は外角低めのフォークボールで空振り三振に倒れている。

 弟の新井良太内野手も二回無死一塁で、カウント1-0からの2球目、真ん中から内角にきたスライダーを、同じように大きなスイングでファウル。あとは外角低めに集められ、最後は対角線となる内角高めの直球で空振り三振。注文通りに料理され、内海をペースに乗せてしまった。

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新井貴の弟、良太も好機にバットが空を切った