専門家会議「欧米より感染など低水準」と評価 「第2波」へ検査体制強化求める

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 新型コロナウイルス感染症対策を検討する政府専門家会議(座長=脇田隆字国立感染症研究所長)は29日、国内の感染者数や死亡者数などについて、「欧米の先進諸国と比べ、新規感染者数の増加を抑制し、死亡者数や重症者数を低い水準で推移させている」と中間評価した。再流行の「次なる波」に備え、検査体制や医療提供体制の強化に取り組むべきだとしている。

 同会議は、感染者数と死亡者数が低水準である理由として、効果的なクラスター(感染者集団)対策などを挙げた。日本のクラスター対策は、感染者が出た時に、過去にもさかのぼり感染源になった場所やその関係者を特定するのが特徴で、早期の検査、医療につながり、感染拡大を抑止できたとした。

 3月中旬から急拡大した感染時期のピークは4月1日で、この頃までには1人の感染者が2次感染させる人数を表す「実効再生産数」が感染縮小を示す1を下回っていたと分析。緊急事態宣言後は全国レベルで1未満を安定的に維持できたと指摘し、宣言による人々の接触機会の減少などが貢献したとした。

 「次なる波」に備え、検査体制を強化し、抗原検査についてはPCR検査との役割分担を明確化し院内感染防止対策などに活用するよう訴えた。医療提供体制については、患者が少ない時でも最低限の病床を確保し、平時から円滑に切り替えができるよう求めた。

 各自治体が地域のリスク評価ができるよう、感染防護具の確保状況を確認するなど約50項目のチェックリストをまとめた。【金秀蓮】