コロナで業績悪化理由は「解雇権の乱用」 外国籍社員3人労働審判申し立て

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 新型コロナウイルスの感染拡大による業績悪化を理由に解雇されたのは無効だとして、大阪府内のイベント企画会社の正社員だった外国籍の男性3人が29日、雇用の継続などを求める労働審判を大阪地裁に申し立てた。

 申立書によると、3人は米国、オランダ、ドイツ国籍の29~34歳。2017~19年に契約社員として入社し、その後、正社員になった。会社は国内外の展示会で企業ブースの企画・設営などを手がけている。

 同社は3人に対し、緊急事態宣言が発令された翌日の4月8日から会社を休むよう指示。新型コロナの影響で展示会などのプロジェクトが中止され、「事業継続が困難」として同月22日に解雇を通知し、5月15日付で解雇した。

 経営側の事情による整理解雇は判例で、人員削減の必要性▽回避努力▽合理的な人選基準▽十分な説明など適正な手続き――の4要件が必要とされる。3人は、展示会などは延期されただけで事業継続が困難とまでは言えず、整理解雇の4要件も満たしていないと主張。「解雇権の乱用だ」として、雇用継続と賃金の支払いを求めている。

 労働審判は、裁判官と有識者による委員会で、労働を巡るトラブルの迅速な解決を目指す制度。申し立て後、大阪市内で記者会見したドイツ国籍の男性(34)は「このままでは生活費や家賃が払えない。早く働きたい」と訴えた。【伊藤遥】