経団連と大学が「9月卒業」後押し コロナで就活難航の学生支援のため

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 経団連と大学でつくる産学協議会は29日、新型コロナウイルスの感染拡大で就職活動が難航する学生を支援するため、大学による「9月卒業」の導入を積極的に後押しする方針を明らかにした。企業側は通年採用の拡大など柔軟な対応で応じる。

 産学協議会は、新型コロナの影響で業績が悪化し、採用人数を減らす企業が相次ぐ事態を懸念。卒業を3月から半年間延ばすことで、余裕のある就活や雇用環境の改善などを望む学生に対応することにした。

 一部の大学は、主に海外からの留学生を受け入れるため、春に加えて秋の入学と卒業を既に認めている。産学協議会は、各大学の自主的な取り組みに委ねながら、こうした動きを広げたい意向だ。4年制大学の場合、2021年9月には、入学から4年半かけて卒業する学生が増えることが想定されている。

 一方で、産学協議会は小・中学校の9月入学への移行について「新型コロナの影響で生じた教育現場の課題をすべて解決できず、開始年齢の遅れが教育水準の低下につながるとの指摘もある」として、慎重に検討するよう訴えた。【鳴海崇】