台湾が香港人受け入れへ対策チーム 蔡総統表明「自由と民主主義のために」

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 香港で反中活動を禁じる「国家安全法制」の施行が決まったことを受け、台湾の蔡英文総統は29日、政治的理由で移住してくる香港人を受け入れる目的で、政府の対策チームを設置したと表明した。同日には中国当局に拘束された後に台湾に移住した「銅鑼湾書店」(香港)の元店長、林栄基氏(64)と面会し「自由と民主主義の発展のため共に努力しよう」と呼びかけた。

 香港で国家安全法制が施行されれば、自由や人権が中国本土並みに制限されるとの懸念が出ており、多くの住民が海外移住を検討している。香港から台湾への移住には専門技術の保有や投資など一定の条件が課されているが、政治的理由による渡航者は台湾の法律に基づき、必要な援助や保護を受けられる。現時点では受け入れ制度が十分に整備されていないことから、対策チームは長期滞在や保護に関する包括的な制度を早急に策定する。

 近年、香港から台湾への移住者が増えており、台湾政府統計によると、2016年には1086人だったが、19年に1474人となった。中国本土の禁書を扱う書店の店長だった林氏も15年に中国当局に拘束された後、19年に台湾に逃れ、20年4月に台北に香港時代と同名の「銅鑼湾書店」を開店した。【台北・福岡静哉】