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外為法を所管する財務省=東京都千代田区で2016年6月7日、井出晋平撮影

スーパーや文具メーカー、スーパー銭湯まで外資規制? 外為法の安全保障リストが波紋

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 外資による国内上場企業への出資規制を強化する改正外為法で、外資が1%以上出資する際、安全保障上重要性が高いことから国に事前届け出を義務付ける対象企業518社のリストが波紋を呼んでいる。食品スーパーや文具メーカーなど、安全保障との関わりが不明な企業も複数入ったためだ。海外からの投資に影響する可能性もあり、市場関係者からは選定基準の明確化を求める声も出ている。

 改正外為法は5月8日施行された。安全保障上重要な分野の技術や情報が国外流出するのを防ぐため、外資が国内上場企業に出資する際、国への事前届け出の基準となる出資比率を「10%以上」から「1%以上」に引き下げて厳格化。武器や原子力、サイバーセキュリティーなど12分野を手がける企業を対象とし、施行に合わせて公表されたリストには三菱重工業、日立製作所、NEC、トヨタ自動車など大企業が並んだ。

 一方で、料理の宅配注文サイトを運営する「出前館」や関西地盤のスーパー「オークワ」、文具メーカー「セーラー万年筆」、スーパー銭湯を展開する「極楽湯ホールディングス」など、安全保障との関係が判然としない企業も複数挙げられた。オークワの担当者は「安全保障に関わる事業は手がけていない。事実に反するので財務省にリストからの削除を求める」と説明。指定企業からは「買収されにくくなるメリットはあるが、将来的に資金調達に支障が出かねない」と懸念する声も出ている。

 逆にリスト漏れが波紋を呼んだ例も…

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