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災害エスノグラフィーという手法で行われた証言記録作業=2019年10月、宮城県庁

宮城県、職員の証言記録作成を中断 東日本大震災10年に向け準備 新型コロナ

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 宮城県が来年3月11日の東日本大震災10年の節目に合わせて準備を進める県職員の証言記録作りが、新型コロナウイルスの影響で中断していることが28日、県への取材で分かった。近年、大規模災害が多発しており、記録は他の自治体の参考になると期待されるが、再開のめどは立たない。

 職員が質問に回答する形式ではなく「避難所」「仮設住宅」「がれき処理」など約80のテーマごとに、当時の体験をありのままに語ってもらい記録する「災害エスノグラフィー」という手法を使った意欲的な取り組み。約1億1000万円の予算を投じ、2021年度末までに報告書にまとめ、聞き取り時の様子を撮影した映像と共にホームページで公開予定だった。

 しかし、インタビューには証言者の他、録音や撮影担当の外部スタッフらが参加して1回2時間を要するため、密閉、密集、密接の「3密」は避けられない。マスクを着用する証言者の声が聞き取りにくく、表情も分かりづらい問題も浮上し、4月から中断した。

 昨年8月から来年9月にかけて延べ約1200人にインタビューする計画だったが、終えたのは約200人にとどまる。緊急事態宣言は全面解除されたが、引き続き濃厚接触を避ける必要があり、再開できずにいる。記録完成は22年度以降にずれ込む可能性がある。

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