年金改革法が成立 パートらへの厚生年金の適用拡大が柱

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 パートなど短時間労働者への厚生年金の適用拡大を柱とする年金制度改革関連法が29日、参院本会議で与野党の賛成多数で可決、成立した。将来世代の年金額を底上げするため、加入義務がある企業の規模要件を段階的に拡大し、2024年10月に「51人以上」まで広げていく。

 従来、短時間で働く人は従業員501人以上の企業で週20時間以上働くことなどが加入の条件。企業規模要件を22年10月に「101人以上」、24年10月に「51人以上」に拡大する。制度の支え手を増やす狙いで、新たに65万人が厚生年金に加入する見通しだ。

 また、高齢者の就労を後押しするため、60~70歳の間で選べる年金の受給開始時期について、22年4月から60~75歳に広げる。66歳以降に繰り下げ受給すると月0・7%ずつ上乗せされ、75歳まで繰り下げた場合は月額で84%増となる。

 一定以上の収入がある高齢者の厚生年金を減らす「在職老齢年金」は、60~64歳で「月収28万円超」から65歳以上と同じ「月収47万円超」に引き上げる。高齢者の働く意欲をそいでいるとの指摘を受けて見直す。

 通常国会の重要法案に位置づけられたが、審議では、新型コロナウイルスにまつわる質疑も目立った。【矢澤秀範】