世界の観光客数、20年は7割減も 国連機関が推計

【ニューヨーク=吉田圭織】国連の世界観光機関(UNWTO)のポロリカシュヴィリ事務局長は28日、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響で2020年の国境をまたぐ観光客数は「前年に比べて7割減る可能性が高い」との予想を示した。「集計を始めた1950年代以来、最大の減少幅となる」という。

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新型コロナの影響で世界の観光客は大幅に減っている(5月、ベネチア)=ロイター

ドイツ経済紙ハンデルスブラットとのインタビューで語った。推計は8月から世界各国の国境が開き始めることを想定している。ギリシャやイタリアなど欧州の一部で国境を開く準備を進めており、夏休みに観光客の国際的な移動が動き始める兆しがある。

UNWTOは12月まで世界各国で国境封鎖や渡航禁止が続いた場合、観光客数は前年比78%減少するとの予測を5月初めに示している。この場合、世界で最大1億2000万人が失業し、1兆2000億ドル(約130兆円)の損失が出る可能性がある。1~3月の世界の観光客数は前年同期比22%減少し、800億ドルの損失につながった。

UNWTOは28日、各国政府や企業に対し、国際的な移動の安全な再開のためのガイドラインを発表し、タッチレス(非接触)技術の強化やソーシャルディスタンス(社会的距離)が保てるように工夫するよう呼びかけた。