黄色い小旗、高齢者宅に掲げコロナの安否確認に「住民同士の見守り大切」 福岡・上毛
by 毎日新聞新型コロナウイルスの感染拡大を防止しようと、福岡県上毛町東上地区は5月初めから、高齢者宅の安否を玄関先に掲げた黄色い小旗で確認し合う取り組みを進めている。地震や大雨などの災害時、周囲に無事を知らせる同様の試みは全国に普及しているが、東上地区では感染防止に活用した。
発案したのは、地区の高齢者の集い「生き生きサロン」の代表を務める笹尾嘉一さん(85)。東上集会所で定期開催する同サロンは、体操やゲームなどを通して交流を深める目的もあるが、安否確認の場でもある。ところが、新型コロナの感染拡大で、サロンは3月以降中止に。
笹尾さんは「この間、1人暮らしのお年寄り宅などの見回りを民生委員らだけに任せるのではなく、地域全体で見守ることが必要」と小旗の活用を思いついた。これだと自宅を訪問するなど必要以上の接触も回避できるという。
東上地区は約120世帯、240人が居住するが、高齢化率は49%と高い。現在、小旗を利用しているのは約20戸。朝掲げて、夕方しまう。その上げ下げを確認する担当者も地区ごとに割り振っている。小旗は縦15センチ、横20センチほどで、遠目からも目立つよう黄色にした。布は町内の呉服屋が提供してくれ、竹の先に旗をかぶせられるよう袋状に縫ったという。竹は笹尾さんが切り出した。
「高齢化の進んだ地区では、住民同士が助け合い、見守り合うことが大切。コロナだけでなく、災害時にも小旗で通信できるよう周知したい」と笹尾さん。【籔田尚之】