離島でコロナ感染者出たら…唐津海保が初の訓練 5人がかりで寝袋型アイソレーターに収容

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 海上保安庁唐津海上保安部(佐賀県唐津市)は28日、離島から新型コロナウイルスに感染した患者を本土に運ぶ訓練を初めて実施し、公開した。唐津市の唐津港東港の桟橋を離島岸壁と見立て、防護服を着た海上保安官らが接岸した巡視艇に患者役を運び込み、港内の別の桟橋に待機する市消防本部の救急車へ引き継ぐなど、連携の手順を確認した。

 訓練は、同市の離島から保健所を通じて唐津海保に患者の本土搬送が要請されたと想定。漁業取締船の提供を想定する県玄海水産振興センターや唐津署、県唐津保健福祉事務所も加わり、計5機関約40人が参加した。

 市消防本部救急隊3人と海上保安官2人の計5人がチームを組み、患者役の海上保安官を巡視艇に搬送した。熱中症を防ぐため5人は近くに着いてから防護服に着替えた。担架を載せる台車ストレッチャーが巡視艇内で使用できないことなどから、感染を防ぐ強化ビニール製の寝袋型「アイソレーター」に患者役を収容し、担架に乗せて運び出した。船内感染を防ぐため、甲板上にアイソレーターを横たえて海上を運んだ。

 閉会式で同福祉事務所の大林航・保健監は「離島に行ったチームだけで想定外の事態に対処するには、平時の準備が大事」と指摘。唐津海保の林亮治部長は「保安官がどう補助すればいいのか確認でき、実りある訓練だった」と総括した。【峰下喜之】