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大魔神の攻略法にミスターが送った指示は…名伯楽・内田順三氏が対応策に悩んだ数々の好投手

 広島や巨人で数々の強打者を育成し、名伯楽と呼ばれる内田順三氏(デイリースポーツウェブ評論家)。プロ野球界では37年間の指導者人生を送り、球史に残る好投手とも対戦を重ねてきた。記憶に深く刻まれている相手や、手を焼いた決め球について聞いた。

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 ファームを見ていた時期が長かったが、1軍にいた時期では阪神のJFKは強く印象に残っているね。久保田、藤川の高めの伸びのある直球には押され、特にウイリアムスの高速スライダーはまともなスイングをさせてもらえなかった。

 この投手が出てきたら負け。そんな気持ちにさせられるリリーフのいるチームは強い。中日の岩瀬がいい時はスライダーの切れが抜群で、右打者も左打者も手こずっていた。横浜(現DeNA)の大魔神・佐々木のフォークに対応するのも難しい。直球かというくらいのスピードで、振るとボールが消える。長嶋監督は「フォークが来たら目をつぶれ」と極端なことも言っていた。できる限り長くボールを見て、コンパクトなスイングで逆方向に打つくらいしか対策がなかった。

 先発では巨人時代、中日の吉見にもよくやられた。淡々と投げるタイプだが、両サイドと低めに狂いのないコントロールで投げ込んでくる。三振は取られないが、裏をかかれて詰まったり、泳がされたりと翻弄された。広島では黒田のツーシーム、前田健太の球持ちの良い直球と絶妙な緩急のコンビネーションは、対策を立てても攻略が難しかった。

 広島コーチ時代に戦った巨人の投手では、やはり上原だね。テンポ良く、フォークも2種類あって、どんどんストライクを奪われていく。直球の球速は143、4くらいだったと思うけど、初速と終速が同じで打者の体感速度はスピードガン以上のもの。打席を外して何とか自分のタイミングで打とうとしていたけど、そうさせてくれなかった。

 プロは対戦を重ねるたびにデータも出てきて対応できる確率は増すものだけど、いい投手とういのは逆にどんどん考えさせられる。追い込まれると苦しいから早めに勝負を仕掛けていくつもりが、考えるからバットが出ず甘い球も見逃してしまう。

 今でいえば菅野なんかそうだよね。打者が受け身になると、距離感を取れずに自分のスイングもできなくなってしまう。逆の見方をすれば、打者にそう思わせることが、いい投手の条件と言えるのだろうね。