4月の鉱工業生産指数87・1、3か月連続下落…11年2か月ぶり「急速に低下」

 経済産業省が29日発表した4月の鉱工業生産指数(2015年=100、季節調整済み)速報値は、前月比で9・1%低い87・1だった。指数は企業の生産活動の活発さを示し、比較できる13年以降で最も低い水準となった。下落は3か月連続だ。同時に発表された小売り販売統計も大幅に減少し、新型コロナウイルスの感染拡大がもたらす経済への打撃が鮮明になった。

 基調判断は、前回の「低下」から「急速に低下」へと2か月連続で下方修正した。同様の表現が使われるのは09年2月以来、11年2か月ぶりとなる。

 緊急事態宣言が発令された4月は、幅広い業種で営業休止が広がり、外出自粛で個人消費も落ち込んだため、企業の動きが低迷した。基準が異なるために単純比較はできないが、指数の下げ幅は、リーマン・ショック後の09年1月(8・8%)を上回った。

 業種別では、全15業種のうち14業種で低下した。マイナス幅が最も大きかったのは「自動車」(前月比33・3%減)で、航空機部品などの「輸送機械」(25%減)、「鉄鋼・非鉄金属」(14・3%減)も振るわなかった。半導体製造装置などの「生産用機械」はプラスだった。

 先行きも厳しい見通しで、参考となる「製造工業生産予測調査」は5月が4・1%の低下となっている。

 また、経産省が29日発表した商業動態統計(速報)では、4月の小売業販売額が前年同月比13・7%減の10兆9290億円で、2か月連続で減少した。百貨店や大型商業施設の休業や営業時間の短縮が響いた。