【緊急レポート】新型コロナウイルス感染拡大で
自粛下のインドネシア・ジャカルタの生活とは?

日本語教師としてインドネシアと出会い、2005年からグローバル人材紹介会社で日系企業・ 日本人求職者のサポートを担当するジャカルタ在住15年の長野綾子さんが、新型コロナウイルス影響下でのジャカルタでの生活、学校や企業、人々の様子をレポートします。

 今日は2020年5月29日。インドネシアでの新型コロナウイルス発生後の状況について、マクロな情報ではなく、ここで生活している日本人として感じていることなどを少しシェアさせていただければと思います。

日系企業と日本人・人材の採用は?

 インドネシアは新型コロナ感染者が2万3000人、死者1400人を超えました。インドネシアは東南アジアでも発症者確認は比較的遅かったのですが、そこから短期間で感染者数は急増しています。

 ジャカルタ中心部のオフィスは営業停止、ジャカルタ郊外の工業団地エリアについても製造を停止している企業があります。在インドネシア・日系企業の8割ほどが、責任者を残し日本人社員は帰国をさせている状況のようです。
 
 日本人学校の入学時期・新学期の時期が延期になることが決定したことから、帯同家族も続々と帰国しているようです。
 
 私も3月半ばから現在までジャカルタの自宅にて在宅勤務をしています。残念ながら、人材の採用を保留・キャンセルしなくてはならない会社が出てきていることは確かですが、引き続き人材を必要としている企業はあり、ペースは落ちてもマーケットは動いているといえます。

もともと充実していたネットショッピングとデリバリー

 ジャカルタ特別州は緊急事態宣言後、比較的早いペースでオフィス・学校は休みになり、その後も外出自粛(禁止に近い)、モスク金曜礼拝禁止、集会禁止、バイクタクシー禁止、車も乗車3人まで、などの対策を取っています。
 
 観光施設、博物館・美術館、映画館、遊園地、モールなどもすでに1カ月ほど休業、スーパーマーケットやホームセンター、レストラン・カフェ(デリバリーのみ)などは一部営業を続けています。
 
 もともとジャカルタはインターネットショッピング、食材やレストランからのデリバリーが充実しているので、自宅待機となってもさほどパニックはおきなかったと思います(一部買い占めなどはありました)。

 私自身もワーキングマザーということもあり、普段からネットショッピングやスーパーからの食材のデリバリーを使っていて、ほとんど買い物に出かけない生活だったので、自宅待機となってもさほど生活に支障は感じていません。
 
 ただ、住んでいるマンションのプールやジョギングコース、ジムはすべてクローズしてしまい、マンションの外を用事もなく出歩いていると見回りしている警察に注意を受けるため、運動不足になってきています。
 
 緊急事態宣言(ジャカルタ特別州)については6月4日までとなっていますが、その後延長となるかどうかはまだ決定していません。

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2カ月経済活動がストップしたジャカルタは大気汚染がなくなり、びっくりするぐらいの晴天です【202年5月27日:撮影/長野綾子】

1週間でオンライン授業への切り替えが完了

 インドネシアのすごいなと思うところは、対応の早さです。私の子どもたちの学校(日本人学校ではなく私立の現地校)は3月上旬が学期末で、ちょうど1週間ほどの休みに入ったところでしたが、その休み明けにはオンライン授業への切り替えが完了していて、かなりスムーズに移行されました。
 
 その他、フィットネス、ヨガスタジオ、音楽教室などもあっという間にZOOMを使ってのオンライン・ライブクラスが始まりました。
 
 少し不便はあっても、比較的以前と変わらない生活ができる環境が早く整ったこと、この対応力に正直少し驚いています。

6月末ごろまで感染者拡大が予想される

 インドネシアは6月末ごろまでかなりの感染者が出ると予想されています。5月24日・25日は断食明けのレバラン(断食が終わったことを祝う宗教行事)の休暇だったので、政府から禁止されているにもかかわらず、多くのインドネシア人が田舎に帰省をしてしまいました。
 
 彼らがジャカルタから新型コロナウイルスを持ち帰り、感染者が少なかった地方へ広がり、帰省中に新型コロナに感染した人が休暇明けにジャカルタに持ってくることになります。
 
 医療環境はもともと軟弱な国で、心配なことは尽きませんが、明るくポジティブなインドネシア人なら乗り越えてくれると思っています。
 
 私自身、在宅勤務になって2カ月を過ぎました。多少の窮屈さはありながらも家族といる時間が増え、好きな料理に時間と手間をかけたりと、今までとは違う楽しみを見つけながら生活できています。
 
 どんな時も与えられた環境や状況に順応し、楽しむことが大切なことなのだなと改めて感じています。

インドネシア・日本間の出入国について

 さて最後にインドネシア・日本間の出入国の状況をまとめます。頻繁に変更になるので最新情報はご自身で確認ください。

【インドネシアから日本へ】
・インドネシアから日本へ入国は可能
・ジャカルタ→成田のみ、3社共同運航(週数便のみ)
・入国後検疫検査あり
・陰性でも公共交通機関の利用不可、2週間の自宅隔離もしくはホテル滞在
・日本の滞在許可を持っていない外国人は入国不可

【日本からインドネシアへ】
・滞在許可を持っていない外国人の入国は禁止
・到着ビザを含む外国人の新規滞在許可・就労許可は手続き停止中(国内更新はOK)
・トランジットも不可
・入国後検疫検査あり
・入国後2週間の自宅隔離要請(どこまで厳格にしているかは不明)
・公共交通機関の利用についてもさほど厳しくない様子

(文・写真/長野綾子)

著者紹介:長野綾子(ながの・あやこ)
1976年生まれ。日本語教師としてインドネシアと出会い、2005年からグローバル人材紹介会社JACリクルートメントで、日系企業・日本人求職者のサポートを担当。ジャカルタ在住15年。