少子化対策大綱を閣議決定 不妊治療の負担軽減など検討 5年ぶり見直し

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 政府は29日の閣議で、2025年までの少子化対策の指針となる「第4次少子化社会対策大綱」を決定した。子育てを希望する家庭への経済的支援を前面に打ち出し、不妊治療の費用負担軽減や児童手当の拡充などを検討すると明記した。

 大綱の見直しは5年ぶり。不妊治療では「医療保険の適用のあり方を含め、経済的負担の軽減を図る方策などを検討する調査研究を行う」と明示した。治療費助成を受ける際の所得制限を緩和する方向性も示した。今月実施したパブリックコメントで3800件を超える意見のうち4割以上が不妊治療の制度拡充の要望だったことを踏まえた。

 「妊娠・出産の希望を持つことができる環境をつくり、実現を後押しするため、経済的支援のあり方について地方公共団体の取り組みも含め総合的に検討する」とも明記。自民党が提言した、出産時に少なくとも100万円を支給する「出産祝い金」など新たな制度の導入を検討する。

 児童手当は、現行では高所得世帯を除き中学卒業までの子ども1人に月1万~1万5000円を支給しているが、「高校卒業まで」の支給を求めた自民提言を踏まえ、対象拡大を検討する。

 新型コロナウイルス感染症の収束後を見据え、テレワークの推進や男性の家事・育児への参加促進、地方創生の取り組みの必要性にも言及した。【堀和彦】