#最後の1年:偶然か運命か、出会った二つの才能 東大アメフト部 日本一、夢でなく目標
by 会員限定有料記事 毎日新聞活動休止から1カ月半が過ぎていた。5月9日夜、東大アメリカンフットボール部主将、唐松星悦(からまつ・しんえ、21歳)=文学部4年=は横浜市の自宅で鬱屈としていた。新型コロナウイルスという見えない敵との闘いは長期化を余儀なくされ、現役東大生として初めて日本代表にも選ばれた185センチ、125キロの屈強な肉体はエネルギーを持て余していた。ライバル校も置かれた環境に差はないが、チーム力の地盤を固めるこの時期に動けない状況は「挑戦者」により重くのしかかる。約130人の部員たちの不安げな顔が浮かぶと、じっとしていられなくなり、スマートフォンを手にメッセージを打った。「秋に勝てる状態にするため、逆算して、やるべきことにこだわろう」
一方、就任4年目の森清之(きよゆき)ヘッドコーチ(HC、55歳)は、この試練をチームの成長の好機と見ていた。京大時代に毎日甲子園ボウル、ライスボウルを2連覇し、指導者としても社会人Xリーグの鹿島(現LIXIL)のHCとしてライスボウルを制覇。2度の世界選手権で日本代表HCも務めた今や国内トップの指導者だ。東大OBらの熱望で招かれて以来、肉体と頭脳を妥協なく鍛え、「日本一」を夢でなく目標に置き換え…
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