1強政権はなぜ補正予算で主導権を失ったのか 与党案丸のみで「不十分」な中身
by 会員限定有料記事 毎日新聞新型コロナウイルスの感染拡大に対応する2020年度第2次補正予算案が27日閣議決定され、1次補正と合わせた事業規模は233・9兆円に上った。安倍晋三首相は「空前絶後の規模」と自賛するが、事業者への家賃支援など自民、公明の要求をそのまま反映した内容が際立ち、首相の求心力低下を一層印象付けた。感染の「第2波」も懸念される中で、対策がどれだけ効果を発揮するかも見通せない状況だ。
「GDP(国内総生産)の4割にのぼる世界最大の対策によって、100年に1度の危機から日本経済を守り抜く」。首相は27日の政府・与党政策懇談会で、第2次補正予算案についてこう宣言し、雇用調整助成金の拡充や中小・零細事業者向けの家賃支援などの事業内容をアピールした。ただ助成金の日額上限の引き上げは、当初、慎重姿勢だった政府に対して自民党の岸田文雄政調会長らが求めて実現。家賃支援も自民、公明両党の提言を受けたもの。「経済再生が安倍政権の一丁目一番地」と繰り返す首相の言葉とは裏腹に、与党主導が際立つ予算編成となった。
「安倍1強」とまで言われた政権が主導権を失った背景には、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた経済対策の迷走ぶりがある。首相が「世界的に見ても最大級の経済対策」と胸を張った4月の1次補正編成では、当初盛り込んだ減収世帯限定の30万円給付が世論に「対象が狭すぎる」などと批判され、自公両党が求めた一律10万円給付に覆った。中小企業に最大200万円を支給する持続化給付金も「不十分」などと批判を浴び、首相肝煎りのマスク配布は「アベノマスク」とやゆされた。与党から「官邸の肌感覚がずれている」との不満を招いた。
加えて、黒川弘務・前東京高検検事長の賭けマージャン問題など一連の検察庁法改正案を巡る混乱が追い打ちをかけた。毎日新聞と社会調査研究センターによる23日の世論調査で、内閣支持率は13ポイント減の27%に急落。政府内でも「政権は今弱っているから何をやっても批判される」(関係者)との弱気の声が漏れる一方、自民党はプロジェクトチーム(PT)を立ち上げるなど2次補正予算案に向けた具体策を次々に…
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