JR九州、17線区の営業赤字56億円 18年度収支 初公表

JR九州は27日、在来線の線区別収支の一部を初めて公表した。2018年度(19年3月期)に1日の利用者(平均通過人員)が2千人未満だった12路線17区間について、計約56億円の営業赤字となっていることを明らかにした。少子化で鉄道利用客の減少が続いており、単独では回復が難しいと判断。厳しい収支状況を公表することで、沿線自治体や住民に路線維持の協力を求めていく。

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青柳社長は赤字路線を維持するため、沿線自治体との協議の必要性を訴えた(27日、福岡市)
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「どうすれば鉄道網を維持できるのか、沿線自治体にも知恵を出してもらいたい。そのための基本資料と捉えてほしい」。青柳俊彦社長は同日、福岡市で記者会見し、線区別の収支状況を公表した理由を説明した。

公表した線区以外でも赤字路線は存在するが、今回は利用客が1日2千人未満の線区に限って公表した。災害の影響を受けている日田彦山線や筑豊本線など2路線3区間は除いた。

赤字が最も大きかったのは日豊本線の佐伯(大分県)―延岡(宮崎県)間で、6億7400万円だった。次いで肥薩線の八代(熊本県)―人吉間(同)が5億7300万円、日南線の田吉(宮崎県)―油津間(同)が4億8500万円だった。

いずれも民営化された1987年に比べ、利用客が大幅に減っている。特に豊肥本線の宮地(熊本県)―豊後竹田(大分県)間は1日100人ほどで、9割減った。

JR九州の危機感は強い。昨年11月から利用客の減少率が87年比約7割となった7線区の沿線自治体と、活性化のための協議会を発足。意見交換を進めてきた。

青柳社長は「まずは地元との信頼関係を築くことが先決」とし、バスなど代替交通網への切り替えや、沿線自治体に線路などの維持費用を求める提案はしていないと強調した。ただ「地元から要望があれば検討する」とし、将来の協議に含みを持たせた。

同社は今後も線区の収支状況を公表する予定で、鉄道路線の維持に向けた議論を活発化していくとしている。