香港立法会、国歌条例案審議へ 警察が複数逮捕
【香港=木原雄士】香港の立法会(議会)は27日、中国国歌「義勇軍行進曲」を侮辱する行為を禁じる国歌条例案を審議する。SNS(交流サイト)で抗議活動が呼びかけられ、香港政府は立法会周辺に3500人の警察官を配置するなど厳重な警備を敷いた。条例案は6月4日に採決される予定だ。
香港警察は27日早朝から香港各地で取り締まりを強化し、危険物所持の疑いなどで複数の若者を逮捕した。立法会は抗議者の突入を防ぐために高いフェンスで覆われた。
国歌条例案は立法会の議員宣誓などの際に国歌斉唱を義務付け、替え歌を歌うなどの侮辱行為を禁止する。違反すると最長で3年の禁錮刑を科す。中国が2017年に国歌法を施行し、香港にも適用すると決めた。香港の民主派は「何か違法行為にあたるのか曖昧で、恣意的に運用される可能性がある」と反発している。
北京で開催中の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)は28日に反体制活動を禁じる「香港国家安全法」の制定方針を採択する。言論や集会の自由が制限されるとして、民主派は危機感を強めている。