スーパーシティ法が成立 まちづくりに先端技術活用
人工知能(AI)やビッグデータなど先端技術を活用した都市「スーパーシティ」構想を実現する改正国家戦略特区法が27日の参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。車の自動運転や遠隔医療などを取り入れたまちづくりを通じ高齢化社会や人手不足の解決につなげる。
スーパーシティ構想は物流、医療、教育などあらゆる分野の先端技術を組み合わせ、その相乗効果で住みやすいまちをめざす。自動運転やキャッシュレス決済、ドローンの自動配送、遠隔診療などのサービス提供を想定する。
改正法で複数の規制改革事項を一括して進めることができる。例えば先端技術を活用した高度な医療機関の設置や通院予約、通院のためのタクシーの配車予約を連動させることなども可能だ。
特区の指定を受けた自治体は国や民間企業と区域会議を設け、必要な規制緩和を含む事業計画書を作成する。住民の同意を得た上で国に申請すると、首相が担当省庁に規制緩和の特例を求める。新たな手続きの導入で迅速な改革を進める。
政府は今夏にもスーパーシティ構想を進めたい自治体などを公募し、早ければ年内に選定する予定だ。すでに大阪府・大阪市は2025年国際博覧会(大阪・関西万博)の会場となる区域で空飛ぶ車やドローンなどの活用を検討する。
多様なデータを集めて利用するため、個人情報の扱いなどに懸念の声もある。政府は昨年の通常国会で成立をめざしていたが実質的な審議が行われず廃案となっていた。