1分足らずで喉の粘膜採取…武漢1100万人全住民の検査終了

 【北京=南部さやか】新型コロナウイルスの感染拡大が世界で最初に深刻化した中国湖北省の武漢市で、約1100万人の全住民を対象とした大規模ウイルス検査の大部分が終了した。

 地元紙・湖北日報は26日、今月15日に始まった検査で、24日までに900万人の検体採取と650万人の検査を終え、無症状感染者218人を確認したと報じた。陰性の通知を受け「安心して外出できる」と喜ぶ住民の声も伝えた。

 市政府は、5月に無症状感染者の確認が相次いだことを受け、10日間で全市民の検査を終えるとの目標を掲げた。4月時点の市内の検査能力は1日4万6000人にとどまり、通常の方法では事実上不可能だった。このため、中国誌・財新によると、20人分の検体を1本の試験管にまとめて検査し、陽性反応が出ると個別に再検査するといった手法を採用したという。

 ただ、現場では混乱も起きている模様だ。19日に検査を終えた女性会社員(43)は、1分足らずで喉の粘膜を採取していく流れ作業を目の当たりにし、検査の正確性に疑問を持ったという。中国版ツイッター・微博(ウェイボー)では、酷暑下の過酷な作業に泣き崩れる看護師の動画も拡散している。