休校中、子どもの事故死相次ぐ 学校再開向け注意を
新型コロナウイルスで学校の休校が広がった3月以降、子どもの死亡事故が各地で相次いだ。外出自粛で道路がすいた影響で荒い運転が増えたのも要因とみられ、東京都江戸川区では中学1年になったばかりの根井陽多さん(12)がひき逃げで亡くなり、新生活の夢を絶たれた。「本当なら学校で楽しく勉強して遊んでいたはずなのに」。同級生らは声を詰まらせ、突然の死を悼んだ。
事故は5月7日木曜日の正午ごろ起きた。中学は5月末まで休校で、根井さんは自宅で勉強を終え公園に出掛けた直後、国道で車にはねられた。
警視庁によると、逃走後に逮捕された無職、渋谷博容疑者(54)は「コロナで仕事がなくなり、釣りに行く途中だった」と供述。根井さんは青信号の横断歩道を自転車で渡ろうとして衝突し、弾みで約40メートル飛ばされたとの目撃情報があり、警視庁は大幅に速度超過していたとみている。
持久走が得意だったという根井さん。中学校の入学式はなく、スポーツも勉強も一度もできなかった。小学校から友人の男子生徒(12)は「卒業式があったばかりで、同じ中学に行くねと話していたのに」と悲しんだ。
警察庁によると、全国で3、4月に発生した交通事故は4万8568件で昨年同期(6万6327件)と比べ26.8%減。一方、19歳以下の死者は14都道府県の22人で、3人減にとどまった。東京都葛飾区では3月、小学5年の波多野耀子さん(11)が、赤信号を無視して突っ込んだ車にはねられ死亡する事故も起きた。
警視庁の児玉誠司交通総務課長は「車のスピードが上がったり、運転手の注意が散漫になったりしている可能性がある」と分析。別の幹部は今後、学校が再開されれば通学に不慣れな新入生の事故も懸念されるとして「ドライバーに改めて通学路への注意をお願いしたい」と話した。
〔共同〕