「2人のことをずっと忘れずに」川崎殺傷1年で小学校教頭 登校できない児童も

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 事件から1年を迎えるのを前に川崎市の私立カリタス小学校の倭文(しとり)覚教頭が27日、報道各社の取材に応じた。倭文教頭は犠牲になった女子児童のために卒業式で名前を読み上げたことを明かし「(亡くなった)2人のことをずっと忘れずにいる」と語った。事件のショックから今も登校できない児童がいるという。

 事件は2019年5月28日朝に発生した。川崎市多摩区の路上でスクールバスを待っていた同小の児童らが刃物を持った男(当時51歳)に襲われ、保護者の小山智史さん(同39歳)と同小6年の栗林華子さん(同11歳)が死亡、児童ら18人が重軽傷を負った。男は事件直後に自殺し、動機の解明が進まなかった。

 教頭によると、事件後に児童から「一人で寝られない」「事件のことが夢に出てくる」などの相談が1800件以上あった。常駐するスクールカウンセラーの数を増やしたものの、まだ登校できない児童もいる。

 栗林さんが在籍したクラスでは、担任教諭が出席確認の際に栗林さんの名前を呼んで、クラスメートが返事するようになった。栗林さんの両親が参加した卒業式でも栗林さんの名前が読み上げられ、クラス全員で返事をしたという。

 27日は2人を悼むミサの準備のため遺影や献花台が同小の講堂に設置された。ミサは28日に開かれる。【池田直】