「五輪予算で都民の命救える」早期中止訴え 宇都宮氏が都知事選出馬会見

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 元日本弁護士連合会会長の宇都宮健児氏(73)が27日、東京都庁で記者会見を開き、任期満了に伴う東京都知事選(6月18日告示、7月5日投開票)に無所属で立候補すると正式表明した。宇都宮氏は過去2回の都知事選で次点となっており、今回も有力候補になるとみられる。現職の小池百合子氏(67)も再選出馬が確実とされている。

 宇都宮氏は「緊急の3課題」として、PCR検査の拡充や自粛・休業要請に対する補償の徹底などの新型コロナウイルス対策▽都立・公社病院の独立行政法人化の中止▽都が検討するカジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致反対――を公約とした。学校給食の完全無償化や羽田空港の新飛行ルート運用による都心の低空飛行の反対など「重視する8課題」も掲げた。

 会見で宇都宮氏は「まずは雇用を守らないと経済復興もありえない。ハコモノ建設などを一部中断し、予算の振り替えを大胆に行う」と述べた。来夏に延期された東京オリンピック・パラリンピックについては「専門家が来年の開催は難しいというなら、できるだけ早い段階で中止を決めるべきだ。五輪の予算を使えば、都民の命を救える」と主張した。

 宇都宮氏は2012年と14年の都知事選に共産、社民両党の支援を受けて無所属で立候補。ともに90万票超を獲得し次点となった。16年の前回選は野党の候補者一本化に伴い告示前日に出馬を取りやめた。今回は政党から連携の働きかけはなく、市民団体などの支援を軸に選挙戦を進める。

 都知事選には、NHKから国民を守る党の党首、立花孝志氏(52)ら新人4人が立候補の意向を明らかにしている。都議会で小池氏と対立していた自民は独自候補の擁立を見送った。【南茂芽育】