コロナ禍でもネットでミュージシャンが生き残る方法 SoundCloud、BandCamp、YouTubeのメリットとデメリット (1/4)
ベルリン在住のミュージシャンが実践レポートする、ネット活用サバイバル術。
by Masataka Koduka,ITmediaライブハウス、レストラン、カフェ、ホテルなどのサービス業が閉鎖を余儀なくされている今、ミュージシャンはライブ演奏活動の機会を奪われている。筆者が住むドイツ、ベルリンではさまざまな国から来たミュージシャンが、繁華街のカフェなどで毎晩、ライブ演奏を行うことで日銭を稼いで暮らしている。もうライブ活動しなくても印税収入で暮らしていけるビッグネームならば、おそらく“他の手”があるのだろうが、日々のライブ活動における収益に依存しているミュージシャンたちにとって、演奏に対して対価を払ってくれる聴衆との分断は、彼女/彼らの生命線を断った。
「でも、ドイツは社会保障がしっかりしているので、政府から助成金が既に支払われたと聞いている。日本のミュージシャンよりはマシな状況ではないのか?」という日本の読者のリアクションが想像できる。確かに、3月27日に開始された助成金支払いは、予定されていたライブが全てキャンセルされたことによる損益を補填し、自分も含めたドイツのアーティストたちの生活を一時的に潤した。しかし今、このような不安を、ミュージシャンたちは万国共通で持っているのではないか?
「コロナ危機が終わったとしても、ライブ活動を行って稼ぐという、それ以前の元通りの生活は、もう戻ってこないのではないだろうか?」
「そもそも中小ライブハウスへの動員数などは、ここ20〜30年のスパンで見ても減少傾向にあった上に、今回のコロナ危機だ。ライブ活動に依存しない収益化策を、ミュージシャンは確立しなければならないのではないだろうか?」
筆者が一緒に仕事をしているベルリンのミュージシャンたちもほぼ全員がこうした不安を現在抱えている。そして皆、“コロナ危機以降の音楽活動の在り方”を、模索し始めている。ミュージシャン抜きには成り立たないインターネットにおける音楽ビジネスも、同じ課題を持っている。そこで今回は、ここ2カ月間、実際に登場し、そして一部を自分でも体験したコロナ禍における(助成金以外の)ネットを活用したミュージシャン活動収益化策をまとめてみることにした。