菅氏「香港情勢への強い懸念、中国に伝えた」

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 菅義偉官房長官は27日の記者会見で、中国の習近平指導部が香港に導入する予定の「国家安全法制」について、「香港の情勢を日本政府として強く懸念しており、懸念は外交ルートを通じて中国にもしっかり伝えている」と述べた。6月下旬に米国での開催を調整中の主要7カ国(G7)首脳会議を念頭に「G7をはじめ関係国の動向を踏まえて、しっかり対応していきたい」と述べた。

 菅氏は「香港は緊密な経済関係と人的交流を有する極めて重要なパートナーで、1国2制度のもとに従来の自由で開かれた体制が維持され、民主的、安定的に発展していくことが重要だ」と強調した。国家安全法制が施行されれば、香港で保障される自由や人権などが中国本土並みに制限される恐れがあり、民主派が猛反発している。

 日中関係を巡っては、安倍晋三首相が25日の記者会見で「新型コロナウイルスが中国から世界に広がったのは事実だ」と強調したのに対して、中国外務省の報道官が「ウイルス発生源の問題を政治問題化し、汚名を着せることに断固として反対する」と反発。5月上旬には沖縄県・尖閣諸島周辺で中国公船が日本側の抗議を無視して領海侵入し、日本漁船を追尾する事案も起きた。【秋山信一】