学生注目!「地上最速の格闘球技」ラクロスって何だ SNS広告で魅力”体感”

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 国内の競技人口の約8割を大学生が占め、「カレッジスポーツ」と呼ばれるラクロス。新型コロナウイルスの感染拡大による部活動自粛の影響を受け、今年は大学の新入部員が例年の2割程度と厳しい状況が続く中、日本ラクロス協会はウェブ広告で競技の魅力を発信している。

国内競技人口の8割が大学生 コロナで新勧苦戦、例年の2割に

 ラクロスは直径わずか6センチのボールを奪い合い、アルミニウム製のスティックを使ってゴールを目指すスポーツ。スティックによるチェックと当たりの激しさが特徴だ。約180センチ四方のゴールを目がけて男子選手は時速150キロを超える弾丸シュートを放ち、サッカーのキーパー役に相当する「ゴーリー」が体を張って阻止する。「地上最速の格闘球技」を掲げている。

 日本協会によると、国内の競技人口(選手登録者数)は1万7000人。このうち約1万4000人を大学生が占めている。選手の9割以上は大学から競技を始めるとあって、日本協会最高戦略責任者の安西渉理事(40)は「勧誘活動で存在を知ってもらわないと入部する選択肢にも上がらない」と内情を語る。日本学生連盟東日本支部によると関東地区の新入生は例年1500人だが、5月中旬時点で310人と8割減少。他支部でも同様の傾向だという。

3日で1000万円超の資金調達 白熱プレーなど30パターンの広告

 東日本支部の後藤駿太委員長(立教大4年)は「部員がSNSなどで入部を呼びかけてきたが、個人の力では限界もあった」と話す。そこで協会は「まずは関心を持ってもらおう」と大々的に広告を打つことを決定。4月17日からクラウドファンディングで広告費の支援を募ると、わずか2時間で目標の200万円をクリアした。3日間で1000万円を超える異例の早さで資金が集まり、安西理事は「ラクロスコミュニティーの絆の強さに驚いた」。

 これらの資金を基に、4月中旬からインスタグラムやツイッター、動画投稿サイトのユーチューブに30パターンほどの広告を出した。ラクロス部への勧誘だけではなく、白熱したプレー場面にも焦点を当て、「格好良さ」や仲間と喜び合う「充実感」などを前面に出した広告を展開した。ウェブ広告は表示する相手の年齢や地域を指定することもできるため、ラクロス部のある大学周辺に住む18~20歳の男女を中心にターゲットを絞り、6月末まで広告を出し続けるという。

 東日本支部の今年の新入部員にアンケート(有効回答数55人)したところ、半数以上が「SNS広告を見て興味を持った」と回答しており、効果は出始めているようだ。安西理事は「野球やサッカーなどと比べ競技人口がはるかに少ない中で、価値を示さないといけない。ほかのマイナー競技から参考にされるような前向きな取り組みを今後も進めていきたい」と話している。【田中将隆】