「荒れ放題」と「大規模整備」 野球場、コロナ休業で二極化進む 活動再開に課題

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 新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言が全国で解除され、野球場など有料施設の再利用が始まる中、施設の二極化が進んでいる。管理者が常駐する施設では利用停止期間を利用した大規模整備が進む一方で、1カ月以上も使用がなかった球場では雑草が伸び荒れ放題と、施設によっては再開へ課題を抱えている。

 福岡市の山王公園野球場では再開日となった5月18日、外野は真っ白な花を咲かせたシロツメクサで覆われ、内外野の境目さえ分からないほど雑草に覆い尽くされていた。普段は軟式野球やソフトボールの利用者でにぎわっているが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で4月4日から利用禁止となり、再開しても整備が追いつかず、現在も通常利用できるめどが立たない。

 30都道県の約8000チームが所属する全日本早起き野球協会の田上重之事務局長(67)=徳島県阿南市=は「グラウンドに草が伸び放題で、ひどい状態だという声が多く届いている」と危惧する。感染者が少ない地域では5月末から試合を開催する予定だが、「使い続けている状態と違い、利用を前にボランティアで草取りや整備作業をしなければいけない場所もある」と指摘する。

 一方で指定管理制度により管理者が常駐する球場では、利用禁止期間に大がかりな整備を行い、今がベストコンディションという施設もある。福岡市の桧原運動公園野球場は、利用禁止となった4月4日以降、はげかかっていた芝の手入れなど、使用が続く通常期では手が回らない場所まで整備した。ソフトバンク2軍が試合で使うこともある同市雁の巣レクリエーションセンターでも、内野部分の土を掘り起こす大規模整備を行った。桧原運動公園野球場を管理する伊崎健一郎さんは「整備の面でいうなら、休業期間はメリットが多かった」と語った。【丹下友紀子】