元雀荘店員が証言「多い時は週3回」 黒川前検事長は10年以上前から「賭博常習犯」だった - 「週刊文春」編集部

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 緊急事態宣言下の5月1日、13日に産経新聞の記者、朝日新聞の元記者らと賭けマージャンをしていた問題を「週刊文春」(5月21日発売号)が報じ、直後に東京高検検事長を辞任した黒川弘務氏(63)。法務省の調査結果によれば、「黒川氏は約3年前から月1、2回の頻度で賭けマージャンを行っていた」とされている。

【画像】5月17日、「週刊文春」の直撃に無言を貫く黒川氏

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即座に辞表を出した黒川氏 ©共同通信社

 今回、黒川氏は国家公務員法上の懲戒処分とならず、法務省内規に基づく訓告処分とされたことが「甘すぎる」と批判を浴びている。だがそもそも、人事院が示す国家公務員の懲戒処分の指針では、賭博をした職員は「減給または戒告」、常習的に賭博をした職員はさらに重い「停職」とされており、「常習性」の有無は一つの焦点だ。5月22日の衆院法務委員会で、黒川氏の賭けマージャンの常習性を追及された森雅子法相が「常習とは一般に賭博を反復累行する習癖が存在すること。そのような事実は認定できなかった」と「常習性なし」と答弁。安倍内閣は、この「常習性なし」を根拠に、黒川氏を訓告処分にとどめたのだ。

 だが今回、「週刊文春」は黒川氏の賭けマージャンの常習性を裏付ける、新たな証言を得た。

 黒川氏は10年以上前から、新橋や虎ノ門、時には渋谷にまで足を延ばして、雀荘に足しげく通っていたことが分かった。黒川氏がよく訪れていた雀荘の元店員は、一切報じられていない産経の賭けマージャン仲間、A、B両記者の実名も知っており、こう証言した。

「黒川さんは、週に1~2回、多い時には週3回もいらっしゃいました。いつもBさんが予約を入れるのですが、Bさんが急な取材でドタキャンになることもあった。Aさんが一緒のことも多かった。休日に、ゴルフ帰りの黒川さんたちがマージャンをやりたがって、特別にお店を開けたことも何度もありました。風営法上、午前0時を過ぎての営業は出来ないのが建前ですが、照明を落として午前2時頃まで暗がりの中で続けることもありました。点数を取りまとめていたのはBさんでした」

 A、B両記者らと「約3年前」どころか「10年以上前から、時に週3回」もマージャン漬けの日々を送っていたのだ。

 黒川氏に事実関係について書面で質問したが、回答はなかった。

 産経新聞にも書面で尋ねたところ、「2人の記者については、編集局付に異動させ記者活動を停止させています。調査結果が固まり次第、社内規定にのっとり厳正に対処してまいります」と書面で回答があった。

 5月28日発売の「週刊文春」では、黒川氏の処分を巡る官邸と森法相、法務省による水面下のやり取りや、河井克行前法相の捜査を進める広島地検幹部のオフレコ発言、また木嶋佳苗死刑囚と黒川氏との知られざる接点など、6ページにわたって詳報する。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年6月4日号)