アベノマスク8億円検品、穴だらけ 不良発覚後の契約、消えた瑕疵担保責任…
by 会員限定有料記事 毎日新聞政府が配布を進める布マスクは、配送費や印刷費などにも多額の税金が投入されている。中でも気になるのが検品費用とされる8億円だ。政府は「当初から予定していた」と説明するが、契約書や関係者の話をたどると、カビなどの不良品が大量に発覚したことから、慌てて検品を依頼した疑いが出てきている。さらに契約条件にも不可解な点が……。【上東麻子、山口朋辰/統合デジタル取材センター】
政府はこれまで、全戸向けの半分にあたる6500万枚と妊婦・介護施設など向け2000万枚の計8500万枚を8億円かけて、検品している。管義偉官房長官は15日の記者会見で、「マスク配布事業にあたり、当初から計上した予算の中で対応するもの」と説明。「当初から配布前のマスクの最終チェックを行うことになっており、予算を追加的に投入するものではないと聞いております」と述べた。
布マスク配布までの流れを確認しよう。メーカーや商社は海外から布マスクを調達、国内に搬送し、妊婦・介護施設など向けは直接、市町村に届け、全戸向けは大日本印刷(本社・東京都新宿区)でのパッキング作業を経て各家庭に届けられている。
大日本印刷広報部によると4月初旬、政府側から打診され、4月中旬までに作業を始めた。契約した業務内容は、個包装されたマスクを2枚1組にして「3つの密を避けましょう!」と書かれた水色のチラシとともに袋に入れ、指定された郵便局に送ること。「数量の確認をして、作業中に気づけば不良品を避けるが、検査作業としては請け負っていない」という。
厚生労働省のマスクチームに配られた資料によると、4月16日までに全戸向けにパッキング作業をした200万枚のうち、カビ、虫の混入などの問題事例が約200件あったことが報告されていた。18日には厚労省が、妊婦向けマスクに不良品が相次いでいることを発表した。不良品を出した興和と伊藤忠商事は23日、全戸向けと妊婦用の未配布分の全回収を発表した。
政府は検品作業を「当初から予定していた」としているが、受注先の宮岡(本社・埼玉県川口市)と契約したのは、厚労省が不良品について発表した後の23日だった。同社幹部は、「契約の数日前に突然、厚労省マスク班から依頼の電話があった」と証言する。依頼された内容は、マスクの表裏を1枚ずつ袋の上から目視すること、「…
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