海にプールに… 米「自粛疲れ」でヒト殺到 感染増懸念
【ニューヨーク=河内真帆】新型コロナウイルスの感染拡大に伴う行動制限が全50州で一部解除された米国で、「自粛疲れ」の反動が顕著になっている。夏の行楽シーズンの到来を告げる「メモリアルデー」の3連休には、各地のプールや海辺に人々が殺到した。米国の新規感染者や死者数はピークの2~5割の水準に落ち着いているが、経済再開を機に感染者数が再拡大する懸念も強まっている。
米中部ミズーリ州のリゾート地オザークス湖。5月23~25日の3連休、湖畔のプールで数百人が集まって楽しむ様子がツイッターなどで伝えられた。マスク姿の人は皆無で、感染を防ぐため人との距離を保つ「ソーシャル・ディスタンシング」を気にする様子はない。
ミズーリ州では4月6日に外出禁止令が発令され、5月4日に一部解除されるまで多くの州民が自宅待機を余儀なくされた。ある観光客は「みんな楽しむことに夢中だった」と地元メディアに語っている。同州の新規感染者数は5月中旬以降、再び増加傾向にある。地元自治体はオザークス湖を訪れた人に2週間の自主隔離を求めた。
米国では20日に東部コネティカット州が自宅待機命令を解除し、全50州で感染抑制のための行動制限が一部緩和された。多くの州では店舗の収容人数を従来の半分以下に抑えるなど慎重に再開を進めるが、人々の「自粛疲れ」も顕著で、ミズーリ州以外にもカリフォルニア州やメリーランド州など至る所で人々が密集する様子が伝えられた。
米国の感染者や死者数は減少している。米ジョンズ・ホプキンス大学によると、全米の1日あたりの新規感染者数は足元で2万人弱と、ピークから半減。死者数も累計では10万人に近づきつつあるが、1日当たりでは500人程度とピークの2割程度の水準に落ち着いている。
警戒感に緩みが出れば再び感染が広がるとの懸念は根強い。経済再開をいち早く始めたアラバマやフロリダ、ジョージア州などでは直近の新規感染者数が再び増加傾向を示している。ニューヨーク州のクオモ知事は26日の記者会見で「ウイルス感染の再燃を防ぐのは人々の責任感だ」と述べ、自粛疲れが広がりかねない現状にクギを刺した。
ジョンズ・ホプキンス大によると米東部時間26日午後4時(日本時間27日午前5時)時点の全世界の感染者数は555万人を超えた。累計の死者数は34万8000人で、米国(約9万9000人)、英国(約3万7000人)、イタリア(約3万3000人)と続いた。