ドコモが日本全国の人口分布をリアルタイムで確認できるWebサイトを公開、モバイル空間統計を活用
by 大泉 勝彦NTTドコモは、Webブラウザ上で指定した地点の最短1時間前の人口分布をリアルタイムで表示できる「モバイル空間統計 人口マップ」を公開した。無料で利用できる。
「モバイル空間統計 人口マップ」では、携帯電話ネットワークを利用した人口統計「モバイル空間統計」を活用し、指定した地点の最短1時間前から24時間前と、前年同期の人口分布を確認できる。公開期間は2021年3月末までを予定している。
モバイル空間統計は、ドコモ基地局の運用データに個人が識別できないよう匿名化処理を行い、地域ごとのシェアを加味して算出される高精度な人口統計情報。
NTTドコモの川本裕子氏によると、国内全域のリアルタイムな人口統計をインターネット上で無料で提供するのは初めての試みだという。新型コロナウイルス感染症の拡大により、世間での人口流動への関心が高まったことから、個人でも自由に閲覧できるリアルタイム統計データを無償で公開することになった。
人口マップでは、マップ上で地点を自由に選択して、500m四方で区切ったメッシュ内の約1時間前~24時間前の人口分布を確認できる。また、「前年」と書かれたボタンを選択すると、前年同時期(平日・休日)の人口分布表示に切り替えられる。
モバイル空間統計を提供するドコモ・インサイトマーケティングの浅野礼子氏によると、自宅周辺や外出先の人口変動をリアルタイムに確認するほか、飲食店や観光業の現場において、前年度からの人の戻り具合を確認するといった活用方法を想定しているという。
無償公開するマップでは閲覧できる時間やメッシュ範囲が限定される。自治体や一般企業でさらに詳細なデータが必要となる場合は有償での提供となる。
有償で提供しているリアルタイムのモバイル空間統計では、居住地属性や性別、年齢層などを10分ごとの時間粒度で閲覧できるのに対し、公開されたマップでは過去24時間まで、1時間ごとのものに限られる。メッシュ範囲は都道府県単位のほか、都心部であれば125mメッシュでのデータも提供する。
6月上旬には、日本全国1200カ所で、無料でその地点の人口分布における居住地の構成割合を閲覧できる機能の提供も予定しているという。居住地の属性は市内、県内、県外の割合をグラフ形式で確認できる。提供する地点は、市区町村ごとに駅などの人が多いエリアを主に選定しているという。
ドコモ・インサイトマーケティングの矢野達也氏によると、リアルタイムの人口分布マップの公開は3月頃から検討していたという。世間における密度への関心の高まりから、公開するデータは密度に重点を置いたものとなり、内閣官房のWebページに提供している人口変化といったデータは今回提供しないことになった。
また、モバイル空間統計の強みとして圧倒的なサンプル数によるデータの精度に自信を示し、「国民全員がスマートフォンやパソコンから確認できる環境を提供することで、ひとりひとりの行動変容につなげていただければ」と語った。