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【黒川氏賭け麻雀問題】鈴木宗男議員が訓告処分の整合性をめぐって声を荒げて追及「ストレートに答えてくれよ!」

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黒川弘務前東京高検検事長が緊急事態宣言期間中に新聞社社員らと「賭け麻雀」をしたことが週刊誌で報じられ、本人が参加した事実を認めた。しかし処分は国家公務員の法律上の処分である懲戒処分より軽い「訓告」にとどまり、軽すぎるのではないかという声が上がっている。

法務省の川原隆司刑事局長は5月22日の衆院法務委員会で、黒川氏の参加した麻雀の「点ピン」という賭けレートについて、「もちろん許されるものではないが、社会の実情を見たところ必ずしも高額とは言えない」と説明し、賭博罪に当たるとされてきたはずの賭け麻雀を実質的に一部合法化するものだとして物議を醸した。

24日放送の「ワイドナショー」では、1998年に漫画家でタレントの蛭子能収が賭け麻雀で現行犯逮捕されたことが話題にあがるなど、これまでの法運用と整合性がとれていないように見える事態に疑念が広がっている。

日本維新の会・鈴木宗男議員は、26日の参院法務委員会で、14年前に自身の質問主意書により得られた閣議決定を示し、川原刑事局長に「賭け麻雀」に対する認識を問い詰めた。

過去に賭け麻雀が賭博罪に当たるとする内閣答弁

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共同通信社

黒川氏らが興じたとされる賭け麻雀のレート「点ピン」。これは1000点につき100円で賭け金を精算することを意味し、黒川氏との麻雀に参加した朝日新聞社員は、同社の聞き取り調査で「1回の麻雀で、勝ち負けは1人あたり数千円から2万円ほどだった」と説明している。

これを「高額ではない」と説明したようにとれる22日の刑事局長答弁を受けて、宗男氏は「刑事局長は賭け麻雀は賭博という認識はないんでしょうか?」と尋ね、さらに、自身が2006年12月8日に出した質問主意書によって、賭け麻雀に関する閣議決定を引き出していることを紹介。当時、賭け麻雀、賭けルーレットは賭博に該当するかという質問に対し、内閣は「財物を賭けて麻雀またはいわゆるルーレットゲームを行い、その得喪を争うときは刑法の賭博罪が成立しえるものと考えられる」と答弁したという。

宗男氏はこの閣議決定について、森まさこ法務大臣に対し、「この答弁書はいまも生きているという認識でよろしゅうございますか?」と質問し、法相は「はい、それでよろしいかと思います」と一言で応じた。

これを受けて宗男氏は、刑事局長に対し、閣議決定と答弁の整合性を追及して以下のように問い詰めた。

「1万円ドロボウしたって捕まりますよ、何回もやれば実刑判決ですよ。それを3年間も、月2回から3回やっている。そしたら70、80回の回数ですよ。これは常習者と認定してもいい話ではないんですか。

ドロボウなら半年間に1回、それが2回、3回やっても実刑ですよ。懲役刑ですよ。そういった例をすれば、刑事局長、あなたの説明は社会的な認識、観点から当たっていますか?」

再び答弁に立った刑事局長が、「一般論としては…」と語り始めたのを遮り、宗男氏は立ち上がりながら責め立てた。

「ちょっと局長待ってよ!一般論要らないよ!いいですか?大臣は質問主意書の閣議決定を認めているわけですよ。

その流れの中で私は質問しているわけだから。一般論も何も要らんから、私の聞いていることにストレートに答えてくれよ!賭博かどうかってことをきちんと答えなさいよ!」

「人事上の処分としては賭博に当たる」

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共同通信社

刑事局長は、同閣議決定の内容について「財物を賭けて麻雀またはいわゆるルーレット賭博ゲームを行い、その得喪を争うときは刑法の賭博罪が成立しうる、ということはまったくその通りでございます」と認めて答弁。

質問の時間ギリギリとなり宗男氏は最後に、「黒川さんが行ったことは、刑法は別にして、賭博であることは認めますね?賭博かどうかだけ答えてください」と追及し、

「私どもが行った認定、すなわち人事上の処分としては賭博に当たると考えております」

という答弁を引き出した。

賭け麻雀をめぐってはTwitter上で、カジノ専門家の木曽崇氏は、プライドを持って法に準拠して貫いてきた業者と付き合ってきた身として、「マジメに今回の法務省にはやり切れんよ」と苦言を呈し、千葉市長の熊谷俊人氏は、今回の決定が今後職員の信用失墜行為に対して懲戒処分を下すのに支障をきたす可能性を危惧した。

これまでの法運用、さらに閣議決定との矛盾が生じるような事態になっている黒川氏をめぐる賭け麻雀騒動。政府、検察は国民が納得できる、整合性のとれた説明をすることはできるのだろうか。