次世代放射線がん治療「BNCT」 福島の病院、民間で世界初実施

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 南東北グループの脳神経疾患研究所が運営する福島県郡山市の南東北BNCT研究センターは26日、次世代の放射線がん治療として注目されるホウ素中性子捕捉療法(BNCT)による治療を民間医療機関として世界で初めて行ったと発表した。

 BNCTはエネルギーの低い中性子とがん細胞に集まるホウ素化合物の反応を利用して、がん細胞をピンポイントで破壊する治療法。体への負担が少なく、口腔(こうくう)がんや喉頭(こうとう)がんなどの「頭頸部(けいぶ)がん」では、既存の放射線治療や外科手術では治療が難しかったがんにも有効とされている。

 国内では2015年11月に開設された同センターのほか、京都大や大阪医科大で治験が行われていた。同センターが導入した病院併設型のBNCT装置と薬剤が今年3月に薬事承認され、この日初めての治療を行った。

 同センターによると、治療を受けたのは左中咽頭(いんとう)がんの50代の男性。数年前から手術や放射線治療を行ってきたが再発を繰り返していた。今回は国立がん研究センター中央病院(東京都)の依頼を受け、保険適用前の評価療養としてBNCTによる治療を行い、無事終了した。保険適用は6月からの見通しという。

 記者会見した同センターの高井良尋センター長はBNCTについて「これまでは治療法がなくなっていたような難しいがんでも根治したり、治癒率を上げられたりする可能性がある。画期的な治療法だ」と話した。【笹子靖】