佐渡裕、キッズ・オーケストラとの自信作

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SKOは東日本大震災などの災害被災地で演奏会を開いている(2011年、岩手県釜石市)

数々の録音を残している指揮者の佐渡裕が「完全燃焼した作品」と自信をみせる新作アルバム「TEENAGERS」がリリースされた。小学生から高校生が所属する「スーパーキッズ・オーケストラ(SKO)」による生き生きとした演奏を収めた。新型コロナウイルスによる自粛生活が続く中、佐渡は「音楽で少しでも力を蓄え、心を休めてもらえれば」と話す。

SKOは佐渡が芸術監督を務める兵庫県立芸術文化センターの事業として、開館前の2003年に活動を始めた。同センターは阪神大震災からの復興のシンボル。SKOは「次代に何かを残そうという教育的なところから始まった存在」だったが、佐渡は「非常にハイレベルだし、さらにレベルが上がってきている」と評価する。

飛躍のきっかけは11年、東日本大震災直後の被災地で開いた公演だった。「演奏がうまくいったかどうかで評価していた子どもたちが、演奏を待ちわび、音楽に涙し、立ち上がり手拍子をしてくれる人がいることに気付いた。SKOが音楽をする理由が変わった」。今では「日本のオーケストラと欧州ツアーをやるならば、SKOが最も衝撃を与えられる。僕の小指1本動いても、彼らは何か音を表現できるぐらいの関係性になった」と絶大な信頼を寄せる。

アルバムには、SKOの定番曲であるホルスト「セント・ポール組曲」やウィーラン「リバーダンス」、アンダーソン「フィドル・ファドル」を収録した。バッハ「シャコンヌ」は、若くして亡くなった元メンバーにささげた。「アンコール」として、メンバーによる演奏会前の掛け声や「ありがとうございました!」というあいさつの声も収めた。佐渡は「こんな子どもたちが、こんなにすごい演奏していたんだと驚かせたかった」と話している。

(西原幹喜)