西日本豪雨で浸水した「乙亥会館」復旧 地区のシンボル再び 愛媛・西予

by

 西日本豪雨(2018年7月)で被災した愛媛県西予市・野村町地区の多目的施設「乙亥(おとい)会館」の復旧工事が完了し、26日再開した。新型コロナウイルスの影響で竣工(しゅんこう)式が中止になった上、1カ月ほど再開が遅れたが、豪雨から2年を迎えるのを前に地区のシンボルがよみがえった。【中川祐一】

 肱川(ひじかわ)沿いにある同会館は、江戸時代から160年以上続く伝統の「乙亥大相撲」(毎年11月)の会場として親しまれてきたが、豪雨で2階まで浸水し、1階にあった収納式の土俵も泥水につかってしまった。新築移転の案もあったが、現地での再興を求める声が強く、既存施設を利用して復旧工事が進められていた。

 社会体育施設として充実を図るため、1階にあった温浴施設の代わりにトレーニング室やシャワー室を整備した。今後、豪雨当時の様子を伝える「災害伝承展示室」も設ける予定だ。

 この日は早速、地元住民がトレーニング室で卓球に汗を流した。地区内の主婦、西田真由美さん(69)は「被災した時は悲しい思いもしたが、今日を迎えられてうれしい」と笑顔。篠藤義直館長(60)は「(式典の)中止は残念だが、また大勢の人が足を運んでもらえることを楽しみにしている」と話した。