長野・民家3人死亡 30代男性、被害者の兄とトラブルか

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 26日午後11時15分ごろ、長野県坂城町上平、市川武範さん方から「けが人がいる」と119番があった。現場に駆けつけた県警千曲署員らが、頭部にけがをしている男女3人を屋内で発見した。いずれも意識がなく、同県上田市などの病院に搬送されたが、市川さんの息子の直人さん(16)と娘の杏菜さん(22)の死亡が確認された。また、30代とみられる男性の死亡も確認された。

 同署によると、現場には拳銃のようなものが2丁落ちていた。県警組織犯罪対策課は暴力団関係者が絡んだ殺人事件とみて死因を調べるとともに、拳銃のようなものの鑑定を進める。

 関係者によると、亡くなった男性と、直人さんの兄との間でトラブルがあったとの情報がある。市川さんは毎日新聞の取材に「次男と娘が撃たれた」と話した。

 近隣住民によると、市川さんは妻と直人さんら3人の子どもの5人家族。20年以上、町内に暮らしていたという。

 近くに住む60代男性は26日午後11時過ぎ、救急車のサイレンで目を覚ました。「あっという間に覆面パトカーが集まってきた。規制線も張られ何があったのかと驚いた」。杏菜さんの名前を叫びながら、救急隊員が運ぶ担架に付き添う女性の姿も目撃していた。市川さんや直人さんらとは会えばあいさつする間柄だった。市川さんについて「トラブルは聞いたことがない。拳銃が見つかるような土地でもなく、何が起きたのか分からない。心配だ」と話した。

 直人さんは今年3月に地元の公立中学を卒業し、高校に進学したばかりだったという。中学の教頭は「今は対応に追われており、何も話せない」と言葉少なだった。

 現場は田畑に囲まれた20戸ほどの集落の一角で、しなの鉄道テクノさかき駅から南西に1キロほど離れている。【原奈摘、皆川真仁、斎藤文太郎、南迫弘理】