熊本地震、仮設から仮設へ 益城町の団地集約開始 「不安でも我慢するしか」

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 熊本地震で甚大な被害を受けた熊本県益城町の仮設住宅集約に向け、一本化する木山仮設団地(220戸)に転居する人たちへの鍵の引き渡しが始まった。仮設から仮設へと転居する人たちからは「どうせいつかまた引っ越しするのに」とため息が漏れた。

 同町では仮設団地で暮らす被災者が減ったため、木造バリアフリーの福富団地6戸を除く町内17カ所の仮設団地を9月末までに、役場仮設庁舎に近い木山仮設団地に順次集約することを決めた。木山に転居するのは10団地の55世帯。木山で暮らし続ける23世帯と合わせ、計78世帯で今後も仮設暮らしが続く。

 住民には復興に伴う道路拡幅や区画整理など県の事業が完了しなければ自宅を再建できない人もおり、長期化する仮住まいの出口は見えない。25日からは津森、赤井、安永、安永東の各仮設団地計10世帯に、転居先の鍵の引き渡しが始まったが、新たなコミュニティーでの生活への不安も募る。

 津森仮設団地で会社員の夫と、次女と3人暮らしの主婦、吉村綾子さん(62)は「不安でも我慢して暮らしていくしかない」。自宅は地震で全壊し、再建に向けた地盤改良工事などがまだ始まっていない。「木山仮設での生活が1年ぐらいになればいいが、自宅を再建したら、また引っ越すことになると思うと大変」と表情を曇らせた。【山本泰久】