「コロナ乗り越え夢へ」 大学生の日常一変 バイトも就活も…仲間と諦めない
by 毎日新聞新型コロナウイルス感染拡大の影響は、日本の将来を担う大学生の日常も一変させた。自粛要請のあおりで飲食店などのアルバイトはなくなり、就職戦線も「異状」アリ。そんな中、逆境にも負けず夢に向かい進む学生たちがいる。【真貝恒平】
「自分と同じような境遇の子どもたちの笑顔を見て、なりたいと思った」。北海学園大4年の池本充希さん(22)は、学校で児童・生徒の心のケアを担う「スクールカウンセラー」を目指す。
きっかけは、アフリカ赤道直下の国「ウガンダ共和国」への留学。今年2月まで約1年間を過ごした。同国にはエイズウイルス(HIV)感染で親を失った子どもや、隣国から逃れた難民の子どもたちが大勢いる。そんな子どもたちと触れ合う中で、「子どもたちが笑顔で成長できるよう力になりたい」と進路が定まった。
ところが、帰国し待っていたのは新型コロナの余波。大学生向けの就職説明会は相次ぎ中止となり、対面での面接もできない。
そんな中、支えてくれたのが「あしなが育英会」の仲間だった。同会は親を病気などで亡くした学生に奨学金を交付している。学生募金事務局の北海道エリアマネジャーを務める池本さん。「仲間たちと電話で励まし合っている。オンラインでの面接など不慣れなことが続くが、夢をかなえたい」と話す。
「飲食店でのバイトがゼロになった」。藤女子大4年の西嶋里菜さん(21)は、2月まで札幌市内の飲食店でアルバイトを二つ掛け持ちしていたが、道の緊急事態宣言後、毎月約10万円の収入がなくなった。
幼いころに父親を病気で失い、市内で母親と2人暮らし。毎月の奨学金とアルバイトの給料で生活費や学費の一部を賄っていた。それだけにショックは大きい。
「留学できないのではないか」。そんな思いがよぎった。「仲間の留学の話を聞き、自分も世界の人たちと出会い、見識を広げたい」。そう思い、オーストラリア留学を決めていた。
そんな中、あしなが育英会の仲間が勇気づける。「夢を諦めないで」。SNSやビデオ会議サービス「Zoom」の画面越しに伝わる言葉が支えた。「全国の仲間たちとつながることができた。コロナの壁も乗り越えないと先に進むことができない」。費用の面では厳しい状況に変わりはないが、留学という「夢」の実現に向け、歩みを進める。