復興の教訓、出版へ NPO支援法人「文庫」設立 ノウハウ、全国に紹介

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 NPO法人の運営支援などに取り組む仙台市の一般社団法人「グラニーリデト」が、東日本大震災からの復興に向けた市民の取り組みを伝える出版レーベル「東北復興文庫」を設立した。全国の災害被災地にも参考となるノウハウを紹介する狙い。1冊目を夏ごろ出版し、2年間で計5冊刊行する。

 最初の著者は、宮城県石巻市の蛤浜地区で、2013年から料理を提供したりアクセサリーを販売したりする亀山貴一さん(38)。猟師から後継者不足の悩みを聞いて、シカを駆除し、皮や角をアクセサリーにしたほか、自ら取った魚を調理している。

 店舗の「はまぐり堂」は新型コロナウイルス感染拡大で現在は休んでいるが、亀山さんは「地域の課題や状況の変化にどう対応してきたか伝えたい。これから事業を始める際の参考になればいい」と話す。

 グラニーリデトの代表理事、桃生和成さん(37)は、助成金を打ち切られて活動を継続できなくなる団体もある中で、今も続く取り組みに対し「時間がたったからこそ伝えるべき、持続させるポイントがある」と考えた。

 必要な資金はクラウドファンディングで募集。全国から約180万円が集まった。著者と全国の被災地で講演会を開き、直接教訓を伝えながら販売するほか、インターネットなどでも購入できるようにする。

 復興文庫のロゴは、町並みに電球の光がともされたデザインだ。「被災地でさまざまな壁にぶつかる事業者たちの、希望の一つになってほしい」と思いを込めた。