雪国の高級「越後バナーナ」新たな特産品に期待 産廃の廃熱利用し、無農薬栽培

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 新潟県柏崎市荒浜のバナナ農園「シモダ・ファーム」で25日、バナナの生育状況が報道関係者に公開された。経営する産業廃棄物中間処理業「シモダ産業」(霜田彰社長)は、産廃焼却施設の廃熱を利用し、県内初の国産無農薬バナナの栽培に取り組んでおり、雪国でバナナ栽培に挑んだ霜田社長の熱い思いで「越後バナーナ」と命名。新たな地元特産品としての期待がかかる。

 農薬を使わないため、バナナの甘い香りに誘われる害虫は手作業で駆除している。生育は順調で、9カ月前の定植式では50センチ程度だった苗が、今や2メートルを超えるバナナの木になっていた。鈴なりに実をつけたバナナはまだ緑色だが、先端に小さな白い花を咲かせていた。

 通称「バナナハート」と呼ばれる実を包む「花包」も見ることができた。数日で開いてしまうので、ハート形をした花包そのものはめったに見られないという。

 皮が薄く糖度が高い品種「グロスミッチェル」で、1本1000円の高級品。樹上で登熟させ、7月中旬から収穫を始める予定だ。ハウス2棟で200株が栽培され、7~9月には2万~3万本の収穫が目標だ。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、首都圏のバイヤーが見に来られないが、三条や上越市の高級果物店など県内からの引き合いがあるという。

 霜田真紀子常務取締役は「最初は半信半疑だったが、社員みんなの力でここまで育て上げることができた。販路を広げつつ、地域活性化のため農園や熱循環の仕組みなどを地元小学校の授業にも利用してほしい」と話した。【内藤陽】