あつまれ通勤の鬼〜コロナを生き抜く人々〜【第2回:職場編】
by 松崎りえこ東京の、とあるコールセンターでバイトしている私。
3月の時点で、会社にいつも用意されている除菌シートがなくなったり、「トイレットペーパー節約!」というポスターが社内に貼られたりと、いよいよ只事じゃない感じに。
どんどん人手が足りなくなり、増加していく一人一人の仕事の負担。もう休もうにも休める状況じゃありません。
着席したら、PCのキーボード、ヘッドセット、デスクを除菌シートでこれでもかと拭きまくって、今日も1日が始まります。
(イラスト・文/松崎りえこ)
コールセンターはとにかく密!
韓国で大量感染が起こったというコールセンター。狭い部屋に人が集められて、一斉に話をするんだからかなりデンジャラスな環境です。2月いっぱいまでは、マスクをしていない人もちらほらいて不安は募るばかり。
SNSで「コールセンター コロナ」「コールセンター 閉鎖して」などと検索してみると、同じく業務委託のコールセンターで働く人々の悲痛な叫びが見られました。それに対して(ほんとそう! わかるよ!)と心の中でエールを送るのが、寝る前の日課となりました。
一斉テレワークでサーバが激重に
本社の社員がテレワークになって、みんなが一斉に社内サーバを使うもんだから、とにかくネットが激重です。お客様から電話が来たときに情報等を調べようにも、重くて動かず「早くしてよ! 何でそんなに時間がかかるの?」と怒られることも。
私たち出社する意味あるのだろうか…。
お客様の問い合わせ窓口のはずが…
会社もなぜこんな時に不要不急のチラシをバラ撒いたのか疑問ですが、案の定「こんな時にチラシを撒くな! 紙にもコロナウイルスは付着する!」という苦情が殺到。
また、本社の社員からは「○○部の社員たちが飲み歩いているから注意してほしい」「社内旅行を計画しているが止めたほうがいい」などと、わざわざコールセンターに匿名で内部告発までしてくる始末。
そんなこと、私たちに言われても愚痴を聞くことしかできませんよ。たまに言われる「こんな時に出社してるなんて…頑張ってね!」という励ましの声が唯一の救いです。
窓が開けっ放しのため寒い
3密を避けるため、部屋の窓を開けることが義務付けられました。
寒がりの私…。3月頃はまだまだ寒くて、上司から許可をもらってコートを着ながら仕事をしていました。…コロナの前に風邪をひきました。
1日に何回も体温を測る
微熱もあるし、だるい気がする…。頻繁に満員電車に乗り、人が密集する場所にいるのだから、感染しないわけがないのでは…と、眠れなくなるくらい不安になりました。
こんなに1日に何回も体温を測ったことは、今までの人生でなかったです。昔から使っている体温計だったので、これを機に新しい物に買い換えようと近所のドラッグストアに行ったら、なんと入荷待ちで驚きました。
…みんな考えることは同じなんですね。
心配してくれる社員の目が死んでいる
不安な様子の私(バイト)を心配してくれた社員の方が「辛そうだったらしばらく休む? 大丈夫よ、私たちが頑張るから」と言ってくれましたが、目の奥が死んでいました。
こんな状況で社員もバイトも関係ないよ…。この人だって家族がいる。誰だって感染しちゃいけない…。
一方で仕事が激減し、家賃を払うことすら厳しい状況の人もたくさんいると思うと、仕事をもらえてるだけありがたいのかと思ったり…。
ハンドクリームの減りがすごい
手を洗いすぎて肌がカッサカサ。しかも窓も開けっ放し。なので、ハンドクリームを使う頻度が増えました。
そこで、こういう時こそケアを頑張ってみようと、ハンドクリームを数種類購入。普段使いは安物を。リフレッシュ用には香りのあるちょっと高めの物を。塗るひと時が、私の地味な楽しみです。
咳をするとみんなに見られる
少しでも咳をすると注目されます。あまりに続くと「大丈夫? 味覚とか嗅覚とかに異常はない?」と聞かれます。
私も微熱が出たときに同僚から聞かれて「まさか! コロってないですよ~! ハハハ!」とおどけてみせましたが、内心恐怖でした。
誰かが新型コロナに罹ればすぐにコールセンターは閉鎖。『即ゲームオーバー』みたいな状況に皆がピリピリしています。
パートのマダムたちと互いの無事を願いあう
パートのマダムたちと帰りがけに「来週も無事でね~!」と声を掛け合うのが定番になってきました。お互いの無事を祈る…まるで戦時中!
ちなみにマダムたちのマスクは手作りが多く、和柄とかお花柄とかでキュンとします。
通勤の鬼から一言
ついに東京でも緊急事態宣言が解除され、街はもとの姿に戻りつつあります。マスクをしていない人もますます増え、ランチタイムには行列ができているお店も見かけました。
しかし、感染者はゼロじゃないので、まだまだ気を抜かないでほしいというのが本心です…。先週の金曜夜に見かけた、マスクせずに盛大に咳してた酔っ払いのおじさん、怖すぎます!
本当に解除して大丈夫だったのかな…?