新型コロナウイルスのような「SNS上の蝙蝠ウイルス」

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SNS上の新型コウモリウイルスの猛威

 女子プロレスラーの木村 花氏がSNS上での誹謗中傷が原因で死亡(おそらく自殺)するという事態となり、大きな騒ぎとなっている。

 特に現在は、自宅に巣篭もり、暇を持て余している芸能人が多いせいもあるのか、SNSを利用して政治的な意見を述べるような芸能人も多くなっており、余計に注目が集まっているようだ。

 SNS上で誹謗中傷していた当の本人達は、捜査の対象から逃れるためにアカウント自体を削除するなど火消しに躍起になっているらしい。好き勝手に言うだけ言っておいて、都合が悪くなると逃げる。このての輩はインターネットができるまでは表に出てこなかったが、誰もがネット上で意見を述べれるSNSの隆盛によって爆発的に増殖した。まるで、ネット界の新型コロナウイルスのように。

 暗闇に隠れて、日の当たる場所にいる攻撃相手を執拗に責め苛む。他人の不幸は密の味であるかのように、相手の苦しむ姿を想像して悦に入る。人の生き血を啜るかのような行為によって自らの英気を養うその姿は、まさに蝙蝠(コウモリ)そのものとも言える。

 新型コロナウイルスと同様に、その誹謗中傷者の毒牙にかかった人全員が死亡するわけではないが、ある条件が重なると人を死に追いやることに繋がる。誹謗中傷に対して強い免疫を持たない人がその毒牙に触れると精神が不安定になり、場合によっては死に至ってしまう。

ネット情報は「玉石混淆」ではなく「玉石毒混淆」

 インターネットの中に出回っている情報は玉石混淆と言われるが、「玉」と「石」だけなら、さほど被害は生まれない。ではなぜ被害が生まれるのかと言うと、玉でも石でもないモノが混ざっているからである。それは、見た人の心に被害を齎すという意味で「」と言っても差し支えない。

 インターネットの中にある情報には、人を輝かせる宝石のような「」、人畜無害の「」、そして、人の精神にダメージを与える有害な「」が混ざっている。そういう意味では「玉石混淆」ではなく「玉石毒混淆」だと言える。
 そしてこの毒は、時にクラスター化し、人々の精神に悪影響を与える。その悪影響を受けた人は自らもゾンビの如く、面白可笑しく悪意の言葉を広げるようになっていく。まるで、いじめの拡散のように。
 その毒は、負の伝染力を持っているという意味で、ウイルスそのものであるとも言える。
 SNS上に飛び交っている毒を持った悪意の言葉の数々は、「蝙蝠ウイルス」と呼ぶに相応しい。

蝙蝠ウイルスにおける「新たな日常」の必要性

 新型コロナウイルスの蔓延で、「新たな日常」という言葉が頻繁に使用されるようになった。これからは新型コロナウイルスとの共生が必要になるという意味で使用されている言葉でもあるが、この機会に、新型コロナウイルスだけでなく、SNS上の蝙蝠ウイルスに対しても正しい知識を身に付け、なるべく「毒」の部分に触れない新たなネット社会を構築していくべきかもしれない。

 世界はこれまで、ネット上の蝙蝠ウイルスに対しては何の防御策も講じてこなかった。蝙蝠ウイルスによって人の心が傷付こうが、人が死亡しようがお構い無しで放置し続けてきた。

 この機会に、蝙蝠ウイルスに対するワクチンの役割を果たすサービスの構築が望まれる。