再流行に警戒「自発的自粛の可能性」…景気「V字回復」困難か

 緊急事態宣言の全面解除を受け、首都圏でも経済活動が段階的に拡大される。ただ、再流行への警戒感から、景気が短期間に持ち直す「V字回復」の実現は難しいとの見方が多い。

 経団連の中西宏明会長は25日の記者会見で、「感染予防と経済を再びしっかりさせる、難しい運営をやっていくという宣言だ」と政府の方針に理解を示した。

 緊急事態宣言が経済活動に残した傷痕は深い。野村総合研究所の木内登英氏によると、宣言の影響で個人消費は5月だけで約11・2兆円減ったとみられる。

 政府は2020年度第2次補正予算を早急にまとめ、景気のてこ入れを図る。だが、経済活動の正常化には、医療や検査体制の充実が不可欠だ。基本的対処方針等諮問委員会の小林慶一郎委員は25日の会合後、「感染への不安が残っていると、自発的な自粛が続く可能性がある」と指摘した。

 野村証券の美和卓氏は、7~9月期以降の景気回復は非常に緩やかで、「(V字ではなく)L字形になる公算が大きい」と指摘する。業績不振の企業が設備投資を縮小したり、賃金の引き下げで個人消費が伸び悩んだりすることが懸念される。